漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

2015-01-01から1年間の記事一覧

大森靖子の「マジックミラー」について

大晦日なので、今年の自分の音楽の再生回数を眺めていたら、今年一番聞いた曲は大森靖子の「マジックミラー」だということが分かりました。ただし、僕は基本的にCD単位でのリピート再生をしているので、CD1枚あたりの曲数の少ないシングルの方が、1曲あた…

中間業者の役割と変数の扱い方の話

漫画でも音楽でもいいのですが、出版社やレコード会社、あるいは著作権管理業者のような、「作者とお客さんの中間に入る人たち」を排除すれば、作者が金銭的により潤うはず、みたいな考え方があるんじゃないかと思います。僕は前から、この考え方は正しいの…

「ジョジョの奇妙な冒険」における一巡した世界を読む少しの幸福について

(免責:以下、ジョジョの奇妙な冒険のネタバレが含まれます) 「ジョジョの奇妙な冒険」の第六部のラストおいて、本シリーズは重大な転換点を迎えました。この部のラスボスであるプッチ神父のスタンド能力「メイド・イン・ヘブン」によって、時間がどんどん…

完全無欠の少年が欠点(コンプレックス)だらけの大人になる件について

「完全無欠な少年は、欠点(コンプレックス)だらけの大人になります」 これは「南国少年パプワくん」の最終巻の作者コメントにあった言葉なのですが、これを初めて読んだ中学生の頃、僕にはこの言葉の意味がよく分かりませんでした。完全無欠なのに、なんで…

「フラジャイル」とアキレスと亀について

「フラジャイル 病理医 岸京一郎の所見」はアフタヌーンで連載中の病理医の漫画です。今4巻まで出ています。ちなみに、病理医とは直接患者を診察するのではなく、病理診断、つまり患者から採取した細胞・組織の検査や、手術中に摘出された標本を診断したり…

手の絵を描くのが難しいのでごまかす話

みなさんは絵を描きますか?いや、別に描いても描かなくてもいいんですが、僕は絵を描くのが好きなので描きます。絵を描くのは楽しいですが、難しくもあって、描けるものと描けないものがあるんですね。それが、色々描いているうちに、だんだんと苦もなく描…

「うしおととら」のキリオ編について

僕は「うしおととら」が大好きなので、隙あらばうしおととらの話をしてやりたいと思っているのですが、今ちょうどアニメでキリオの話が始まったので、キリオ編について書きたいと思います。 (既に読んでいる人向けの感想共有目的なので、ネタバレをガンガン…

【感想】コミティア114にいってきました

コミティアに行ってきました。ご存じない人のために念のため書いておくと、「コミティア」というのは漫画の同人誌の即売会です。「同人誌」というのは、もともとは同好の士がお金を出し合って作る本のことのようですが、現代ではこのような即売会、もしくは…

「螺旋じかけの海」について

「螺旋じかけの海 音喜多生体奇学研究所」はアフタヌーンに不定期連載中の漫画で、先月、第一巻が出ました。この漫画は他の動物の遺伝子が混ざった人間たちが住んでいる、とある街が舞台となっています。そこでは、それらの人たちが保持する他の動物の遺伝子…

【告知】第二十一回文学フリマ東京に出展(カ-18)します

告知です。11月23日(月祝)に開催される第二十一回文学フリマ東京に出展します。場所は、東京流通センター 第二展示場 ブース番号:カ-18です。 僕の主宰するメンバーが僕ひとりだけのサークル「七妖会(しちようかい)」として、「怪奇雑考妖異変」という…

お手軽な良し悪し判定法としての相対比較について

漫画の強さの比較表現 「龍狼伝」という漫画があります。もう20年以上月刊少年マガジンで連載していますが、僕は子供の頃からこの漫画が好きなので、ずっと連載を追いかけています。龍狼伝は日本人の少年・天地志狼と、その幼馴染の少女・泉真澄が中国への修…

「トコノクボ」について

榎本よしたかの「トコノクボ」は作者の半生を綴った自伝のWeb漫画で、それが加筆修正のもと電子書籍(Kindle)で「トコノクボ-とある絵描きの半生記-」として出版され、それがさらに加筆修正のもと先日、「トコノクボ-くじけない心の描き方-」として紙の文庫…

メジャーな漫画とマイナーな漫画とは何か?

漫画にはメジャーな漫画とマイナーな漫画というのがあるそうですが、では具体的にメジャーな漫画とは何で、マイナーな漫画とは何か?という話をすると、人間と人間が揉めたりするのだと風の噂で伝え聞きます。僕はそれが全然理解不能だと思っていて、何がメ…

ELLEGARDENを推している漫画ランキング(2015年版)

さて、今年もELLEGARDENを推している漫画ランキングの季節です。第1回目です。 ELLEGARDENとは1998年に結成され2008年から活動休止中の日本のロックバンドです。メロディックなサウンドと、滑らかな英語で歌い上げられる、たいへん格好よろしい歌詞、英語と…

作者と読者の共同作業としての読書体験の話

何かの本を読んだとして、それが面白かったとか面白くなかったとか感じることがあるんじゃないかと思います。そのとき、その「面白かった」ということの手柄は誰にあるのか?「面白くなかった」ということの責任は誰にあるのか?ということを思うのです。僕…

僕がゲームの中で人を殺す理由について(MGSV TPP編)

ここのところMetal Gear Solid V The Phantom Pain(以下、MGSV)を毎日2時間ぐらいやっています。累計のプレイ時間は約50時間程度で、ストーリーはまだまだ道半ば、達成率は40%弱といったところです。めっちゃ面白くて延々プレイし続けられますが、生活に…

進撃の巨人の映画の後編を観た感想

後編を観ました。 (以下、結末に関するネタバレがまざります。ご注意。) 僕の予想は外れました mgkkk.hatenablog.com 前編を観たときの予想では、「あの世界は未来の日本であり、あの場所はかつての函館の五稜郭を利用したものであり、オリジナルキャラク…

コンテンツを自然と捉えている話

最近、色々と考えていて、漫画やゲームや映画などのコンテンツを「人工物」と考えている人と「自然物」として考えている人がいるのではないかと思いました。そして、僕は自然物として考えている方だと思います。 さて、また僕が適当に決めた抽象的な言葉が出…

復讐と銃と「RED -living on the edge-」について

Metal Gear Solid V The Phantom Pain(以下、MGSV TPP)をやっているんですが、すんごい面白くて他にやることがあったはずの土日を、ただゲームをやるだけで過ごしてしまいました。今はアフガニスタンを舞台に、メインのミッションを進めたり、サイドのミッ…

「ダンジョン飯」とダンジョンの生態系の話

九井諒子の「ダンジョン飯」、面白いですよね。ダンジョン飯というのはその名の通り、RPG的な世界のダンジョンで飯を食う漫画です。なぜダンジョンで飯を食うかというと、食わないとお腹が減ってしまうからです。お腹が減り過ぎるとなんと死んでしまうのです…

うちの爺ちゃんと戦争の話

もう随分前の話、僕が大学を卒業して、春から会社で働くことになったときの正月、爺ちゃんが僕に話し始めたのは「組織は縦社会だ。上の命令は絶対だ」という話だった。爺ちゃんはずっと農業をしていたので、会社で働いたことがほとんどない(農業をやめてか…

「教養がある」ということについて

「教養」って言葉、人によって使い方が曖昧なので、もうちょっと具体的に言うと何かな?って思うのですが、僕が思うひとつの解釈は「目の前のものから情報を抽出する方法をどれだけ知っているか?」というところに関係しているのではないかと思っています。…

天狗についての読書メモ

次回の文学フリマ東京(11/23)に出展することにしました。前も書いたように妖怪本を出しますが、以下は、そのための「天狗」に関する色々な本を読んだメモ書きです。 初期天狗 天狗という言葉は古くは中国の歴史書「史記」に登場します。天狗とは夜空を駆け…

映画の「進撃の巨人」について

毎月14日はTOHOシネマズの日で、1100円で映画が観れるので、何か観ようと思った結果、「進撃の巨人」の映画を観ました。面白かったです。 面白かったところ(良かった違和感) 何が面白かったかというと、巨人の映像が面白かったのです。奇形の巨人もいます…

「響〜小説家になる方法〜」について

スペリオールで連載中の「響〜小説家になる方法〜」を楽しみにしているので、その話を書きます。この前、第2巻が出ました。 この漫画は、ある小説が純文学の新人賞に送られてくるところから始まります。その小説は、原稿用紙に手書きで書かれた、応募規定を…

「逆流主婦ワイフ」と居場所の話

先々月ぐらいに1巻が出たイシデ電の「逆流主婦ワイフ」の話を書きます。「逆流主婦ワイフ」は最近僕が連載を楽しみにしている漫画のひとつで、連載雑誌はコミックビームです。 逆流主婦ワイフは何の漫画かと説明しようとすると少し困ってしまいます。最初う…

喩え話の地獄

僕はネット関係の分野で働いているのですが、そのお仕事の中で色んな人に色んな説明をしなければならない機会があります。ですが、ネットの仕組みに関する基礎知識がない人も多いので、技術的なことをそのまま説明したとしても相手に上手く伝わるとは限りま…

「ダイの大冒険」のハドラーについて

「ダイの大冒険」がすごく好きで、中でもハドラーがすごく好きなので、その話を書きます。ちなみに僕が生まれて初めて自分のお金で買った漫画はダイの大冒険の4巻です。 ダイの大冒険はドラゴンクエストの世界観をベースにした漫画で、主人公は勇者のダイ、…

「ちひろさん」について

「ちひろさん」はエレガンスイブに連載中の安田弘之の漫画で、風俗嬢の漫画「ちひろ」の続編です。今3巻まで出ています。本作では、風俗嬢をやめ、海の見える町のお弁当屋さんで働くちひろの姿が描かれます。僕はこの漫画が非常に好きなので、その話を書き…

「ストーリー」という言葉の定義について(マッドマックス 怒りのデスロード関連)

「『マッドマックス 怒りのデスロード』にはストーリーがない」、みたいな意見をネットで目にして、「いや、あるだろ」と反射的に思ったんですけど、 マッドマックス怒りのデスロード、ストーリー充分あるだろ。なんでないことになってんの。— ピエール手塚 …