漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

2015-01-01から1年間の記事一覧

漫画の絵における「線」の話

線で絵を描くというのは不思議な話です。なぜならば自然の中に線とはめったに存在しないからです。絵を描くということの一側面は、そんな線でないものを線に落とし込むという作業だと思います。例えば自然の風景を目にするときその中で色の境界を認識するこ…

「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」について

なんとなく、一昨日に見始めた、アニメの「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」なんですけど、昨晩見終わってみたら、今朝のニュースで実写化の報を見たので、シンクロニシティ感がありましたので、なんとなく感想というか見ながら思っていたことを…

桃太郎とドラゴンボール

「桃太郎」は五大昔話に数えられる、日本で最も有名な昔話のひとつ(英語直訳的表現)です。桃太郎に関する代表的な本であるところの柳田國男の「桃太郎の誕生」を読んだ限りでは、桃太郎には、本筋は共有しつつ細部の異なるヴァリアント(異文)が大量に存…

「エアマスター」の北枝金次郎について

ひとつ前のエントリーで漫画に求めているのは「是非とも入りたい宗教」のようなものと書きましたが、僕が実際に経典のようにあがめており、何かあるたびに読み返している漫画のひとつが柴田ヨクサルの「エアマスター」です。今回はエアマスターの中から、北…

最近の僕の宗教観について

はじめに 最近、宗教について考えているので、その話を書きます。宗教は昔からあって、今もあるものですが、それはきっと多くの人が必要としているから続いているということでしょう。では、その場合、宗教とは人間にとって何なのかということが気になります…

「子供はわかってあげない」について

はじめに 読み終わってからだいぶ時間が経ちましたが、すごい面白いなあと思って何度も読みつつも、例によって言葉にするのが苦手なので、どう面白かったのか説明できない感じでしたが、その後、さらに何回も読んで、ようやくなんとなく言葉になってきたよう…

黙読と音読の違いについて

読んでみた 最近あんまり声に出して本を読むみたいなことをしていないなあと思ったので、声に出して読んでみました(ドグラマグラというチョイスは「お兄様」連呼したかっただけです)。 listen to ‘ドグラマグラを読む’ on audioBoom // で、すごく読みにく…

幸運のエミュレータ的解釈について

ゲーム機のハードウェアをソフトウェアで再現する「エミュレータ」には、ゲームの進行状況のメモリ状態をそのまま保存する機能があることが多く、例えばニンテンドー3DSのVC(バーチャルコンソール)にも、「まるごと保存」という名前でその機能が実装されて…

人魚について(次回妖怪本のための叩き台)

また妖怪本作ります どこの同人誌即売会に出すのかまだちゃんと決まってませんが、妖怪本の第二弾を作ります。ということだけ決めました。 本の内容は、漫画の中に出てくる妖怪表現と、その妖怪自体の歴史や関係性や位置づけを僕が読んだ本をベースにまとめ…

ビデオゲームの実写映画化の方法について

ビデオゲームを実写映画化するということは、今まで色々とやられてきていて、上手くいったものも、これは一体何なのだろうと思うものも、ゲームとは別物だけれど、これはこれで良いものだと思うものもあったりします。ただ、思うのは、ゲームを映画化する際…

同じ本を何度も読むことについて

本が溢れる時代 現代には本が溢れています。お金を出せば当然ですが、古本屋で安くなった少し昔の本に出会えたり、著作権の切れたすごい昔の本も山ほどネットで無料で読めます。最近では、Web連載の漫画が読めたり、プロモーションのために期間限定で本が読…

「カリクラ」について

モノローグの多い漫画を読んでいると、自分もその登場人物と同じ気持ちになったりします。最近も志村貴子の「淡島八景」を読みながら、歌劇学校の先生を長年続けるご婦人のような気持ちになっていましたが、はっと我に返ると、僕は30代のネットワークエン…

「竜の学校は山の上」について

九井諒子の漫画はみんな好きなんですけど、とりわけ好きなのが短編集「竜の学校は山の上」に収録されている表題作です。このお話は現代の日本に、生物としての竜が存在するという世界観において、大学の竜学部の学生たちと竜の関係性を描いた物語です。 九井…

【妄想】精神と時の部屋が作られた理由【考察】

ドラゴンボールに「精神と時の部屋」という施設が出てきます。この部屋の中では時間の流れが早くなり、部屋の中で1年を過ごしても、外では1日しか経ちません。そのため、人造人間セル編の終盤では、時間が限られている中で修行をしなければいけない主人公…

自分という物語の伏線としての呪いについて

Wikipediaによると呪いというものは、 人あるいは霊が、物理的手段によらず精神的・霊的な手段で、他の人、社会や世界全般に対して、悪意をもって災厄・不幸をもたらす行為をいう。 ということなのだそうです。 全てを「呪い」という言葉でくくっていいかは…

今月は電子書籍のポイント還元蟻地獄

auのブックパスというサービスが、通信費という別収入があるおかげか、ちょいちょいキャンペーンで気前よくポイントをくれるので、うひょう、無料で本がもらえるぜーと思ってちょいちょい使っていたりします。 特に今月は熱い感じで、まあ、もう今月は終わろ…

なあ、任天堂の新型ゲーム専用機「NX」の予想をしようじゃないか

任天堂の新型ゲーム専用機「NX」が開発中であることが発表されました。しかしながら、現時点では大した情報がありません。これは裏を返せば、今なら勝手でいい加減な想像をし放題ということです(ヤッター)。ということで今回はそれをします。 NXとは何か?…

これはゲームだと気づいてしまう話

拙者、龍が如く0はゲームだと気づくでござるの巻 龍が如くシリーズが大好きなので、案の定、先週発売された、「龍が如く0」を買ってはひたすらプレイしているここのところです。 龍が如くシリーズの好きなポイントは色々あるのですが、まず、僕はその物語…

北海道脱獄囚系物語 featuring 熊

北海道を舞台に脱獄囚が出てきて、熊と戦ったりする物語というと、何を思い浮かべますでしょうか?今だったら「ゴールデンカムイ」でしょうか?でも、それらの要素を満たした物語は他にもあるのです。 ゴールデンカムイ ゴールデンカムイは、北海道を舞台に…

距離マニア(小学生男女恋愛編)

距離マニアとは? 距離マニアとは、吉田戦車の「伝染るんです」のある四コマに登場した人々で、例えば、同じ野球のユニフォームを着た二人が一定距離を空けて歩いているのを見て、 「いい距離だ。」 「ほう、いい距離ですな。」 「私ら距離マニアを満足させ…

テトリス棒的漫画名言について

漫画には沢山の名言があります。スラムダンクやワンピースの名言を取り扱った本が色々出ていたり、最近では「寄生獣ミギー 悪魔の言葉 100の名言」なんて本も出たりしています。その中でも僕がテトリス棒的名言と読んでいる種類の名言があるので、その話…

「3×3 EYES」の鬼眼王と群集心理の話

漫画を読むときには、その時々で思っていることを作中に勝手に見出すことがあります。今回もまた「3×3 EYES」をダシにしたそんな話です。 (3×3 EYESのネタバレをおもくそしているのでご留意下さい) 3×3 EYESとは? 3×3 EYESは、三只眼吽迦羅(さんじやんう…

「キャラが立つ」ということについて

はじめに 面白い漫画はキャラが立っていなければいけないということを劇画原作者の小池一夫が言ったといいます。多くの漫画において、その魅力の大きな部分がキャラクターの魅力であるということは、読者としての実感で僕も持っているのですが、では、キャラ…

刃牙相対性理論:烈海王不変の原理

刃牙シリーズでは、「強さ」とはという命題が繰り返し語られており、その最小単位は「我が儘を通す力」であるとされます。肉体的な力が劣っていたとしても、その自分より格上の相手に対して我を通し切ればそれは強さなのです。暴走族の柴千春は格闘技の鍛錬…

漫画読書と人間の認知について

原因があって、結果があるということに異論を持つ人は少ないのではないかと思います。しかし、こと人間の認識においては、結果は原因よりも先に来ることが多いと思います。なぜならば、結果がなければ、原因が何であるかということを考えるきっかけがないか…

RPGの作り込み問題(妖怪ウォッチ2雑感)

「妖怪ウォッチ2真打」をクリアしました。大体1ヶ月ぐらいでプレイ時間は25時間程度です。クリア後の要素も沢山あり、コンプなどをしようとすると100時間ぐらいはかかってしまいそうな予感もします。で、僕は最近リメイクものを除いてRPGをあまり熱心にやっ…

「ベイマックス」と物語の付喪神について

公開後一ヶ月ぐらい経ったので、そろそろ公開初日に観たベイマックスが面白かったという話でも書きます。 (クライマックスの部分の話がしたいので、ネタバレ含みの話を書きますがご了承ください。) ベイマックスは、サンフランソウキョウというサンフラン…

ゾンビと野良犬と排除の論理について

年末からウォーキングデッドを見始めて、シーズン4まで見終わりました。すごい面白いので、早く続きが見たいです。 おかげで、ゾンビについてぼんやりと考えているのですが、ゾンビとは一体何か?と言い表そうとすると色々難しい感じがしました。もともとヴ…

「ペット」と波とシステムについて

(「ペット」のネタバレが含まれますのでご了承の上読んで頂けますと幸いです。) 「テセウスの船」という思考実験があります。それは、ある船を構成している木材の傷んだ部分を徐々に入れ替え、ついには元の船を構成していた木材が一切なくなったとしても、…

チュートリアルとしての河合克敏の漫画について

スポーツ漫画が好きなんですけど、何故だか実際のスポーツ中継は漫画ほどには楽しめません。その差は何なのか?ということと、その差を丁寧に埋めてくれるのが河合克敏の漫画だと思ったという話をします。 スポーツ中継が楽しめない理由とは?? 人間は単純…