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メジャーな漫画とマイナーな漫画とは何か?

 漫画にはメジャーな漫画とマイナーな漫画というのがあるそうですが、では具体的にメジャーな漫画とは何で、マイナーな漫画とは何か?という話をすると、人間と人間が揉めたりするのだと風の噂で伝え聞きます。僕はそれが全然理解不能だと思っていて、何がメジャーで何がマイナーかは明確なものではないでしょうか??

 

メジャーな漫画とは

 僕が思うに、メジャーな漫画とは、満田拓也週刊少年サンデーで連載していた野球漫画「MAJOR」のことを指していることに間違いないでしょう。

 ちなみに現在は「MAJOR 2nd」という漫画がサンデーで連載中であり、MAJORの主人公だった茂野吾郎の息子、大吾が今度は主人公を務めています。父の吾郎が子供の頃から才気あふれる感じであり、甲子園、プロ野球と経験して、ついにメジャーリーグで投手を務めたの比べ、父親が偉大であるがゆえにその凡才にコンプレックスを抱くのが大吾少年です。劣等感にさいなまれ一進一退を繰り返しながらも、友人(ライバル)を得て、野球に取り組み始める展開は、前作とは異なった熱さがあります。父の親友、佐藤寿也の指導のもと、大吾も最近はついに下手くそを脱却し、活躍も始めつつもあって、今後も展開から目が離せません。

 

 この「MAJOR」と「MAJOR 2nd」がメジャーな漫画であることは疑いようがないのではないでしょうか?もし、タイトルがMAJORなのにメジャーな漫画でないとしたら、例えばタイトルにアイスホッケー部という言葉が含まれているのに、アイスホッケーの漫画では全然ないというような話と同じということになってしまいます。僕が考えるに、そんなことはありえませんから、皆さんもご納得頂けるものだと思います。メジャーな漫画とは「MAJOR」のことなのです。

 

マイナー漫画とは

 では、マイナーな漫画とは何でしょうか?マイナーとはつまりMINERのことでしょう。試しに「MINER」で検索してみると「炭鉱夫」「地雷工兵」などという意味が出てきました。僕はここでピンときましたが、マイナーな漫画とは深谷陽の「密林少年」のことだと思います。

 密林少年はカンボジアに実在する「アキラの地雷博物館」を運営するアキ・ラー(通称アキラ)という人が、幼い頃からポルポト軍に育てられ、10歳でAK47を手渡され、20歳になるまでジャングルの中で少年兵として生きてきた人生について、フィクションを織り交ぜつつ描いた漫画です。

 

 当時ポルポト軍と戦っていたアキラは、ベトナム軍の兵隊は「長い牙と髭を生やした化け物のような恐ろしい存在」だと教えられながら、彼らと戦うために銃の訓練や爆破の訓練を受けさせられていました。その訓練中で仲間が死に、戦いの中でも仲間は死にます。でも、それらの死は大して気にも留められません。なぜならば、そこが命の価値がとても安い場所だったからです。

 そんな中、アキラはベトナム軍に拿捕され、許される代わりにベトナム軍で働くことになります。ベトナム軍にいたのは長い牙と髭を生やした化け物ではなく、人間でした。彼らは言います、君がいたポルポト軍の方が実は悪者であり、ベトナム軍の方が正しいのだと。そこにいたのは確かに人間でした。人間であるベトナム軍はポルポトの村を焼き、そこで暮らしていた人の命を奪ったりもしています。アキラはベトナム軍の一員として、かつての仲間であったポルポトの兵隊と戦います。彼は人も殺します。でも、人を殺したかったわけではありません。自分が殺されたくなかっただけです。選択肢などなかったのです。選んだわけではなかったのです。彼はその後も戦場で暮らします。その戦争が終結するまで。

 

 アキラは戦いました。ポルポト兵として、ベトナム兵として、カンボジア兵として。彼らは殺し、彼らの仲間は殺されました。彼らは殺すために地雷を埋め、その地雷は人を傷つけました。戦争が終わったのは、彼らが殺して殺されたからとはあまり関係がありません。文革路線を変更した中国や、ソ連やアメリカの方針転換が大きなきっかけとなったのです。戦争が始まるのも、戦争が終わるのも、自分たちの意志で始めたことではありません。しかし、自分たちは殺して殺されます。カンボジアには今なお、このときに埋められた地雷が残っているのだそうです。

 

 アキラはジャングル以外に生きる場所を知りませんでした。アキラは軍隊以外に生きる場所を知りませんでした。だから、世界中の誰もが自分のように生きているのだろうと信じていました。誰もが両親を奪われ、AK47を手渡され、地雷を埋めて、敵兵殺し、仲間が殺されて生きているものだと思っていました。そんなアキラは大人になって初めて街を目にします。そして、UNTACに参加することで、ヘリコプターに乗って今まで自分が生活していたジャングルを初めて空から眺めます。そこで目にしたものは、今まで見たことがないものです。自分が知らない場所に、知らない世界があったということにようやく気付きます。そして、自分が見ていたのは広大な世界の中のごくごく一部にしか過ぎなかったということにも気づくのです。

 

 数限りない地雷を埋めてきたアキラは、今度は埋められたままの危険な地雷を掘り出す人(ディマイナー)になります。彼は自分たちが埋めた地雷が、子供たちの手足を奪ったことを知っていました。命を奪ったことも知っていました。アキラは地雷を掘ります。かつて自分たちが埋めた地雷を、自分の手で掘り返します。アキラは様々な地雷から火薬と信管を抜き、展示することを思いつきます。それが博物館、アキラの地雷博物館なのです。

 マイナー(地雷工兵)であったアキラはディマイナー(地雷掃除人)となって、地雷を掘り返し、集め、飾ります。それはかつてあったことであり、今もあることであるのです。「密林少年」はマイナーな漫画であり、また、ディマイナーな漫画でもあるということ、ご理解頂けたでしょうか?

 

まとめ

 このように「メジャーな漫画」とは「MAJOR」と「MAJOR 2nd」、「マイナーな漫画」とは「密林少年」、そしてそれは同時に「ディマイナーな漫画」でもあるという合理的な根拠が示されました。ご理解頂けたでしょうか?ご理解頂けたのなら、もはや、何がメジャーか何がマイナーかで争う必要はなくなりましたね?

 ちなみに、それ以外は全部「普通の漫画」です。Enjoy!