漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

アラフォーが急に漫画家になろうとする関連

 

 2021年の抱負としては漫画家になろうかなと思っていたのですが、なりました(本当になったかどうかについては諸説あります!!)。

 

 このブログでは最初から報告していると思うんですが、2016年に30代半ばにして、急に漫画を描いて同人誌を作ってみようかなと思い立ち、コミティアにえいやと申し込んで、どうにか本をひねり出して参加をしました。

mgkkk.hatenablog.com

 

 その後、年2回ペースで参加を継続し、そのうちなんだか楽しくなって年4回開催されるコミティアにフル参加をし始め、毎回新刊を作っては売っていたという経緯があります。 

 

 当初、友達に配ったりもしつつ30冊程度をなんとか捌いていた僕の同人誌ですが、今では気が付けば、参加すればコンスタントに百数十冊は売れるようになりました。どういう経緯で僕の本を買おうと思ってくれたかは個別に確認していないので分かりませんが、最近は事前にネットで公開した部分を見て来ましたと教えてくれる人も多いので、ネットを経由した人の繋がりによるものなのだろうなと思っています。

 

 僕はオッさんになってから急に同人活動を始めたので、そもそも全然プロ指向ではなかったというか、本業でも徐々に出世もしたりしていて責任のある立場になったりしていましたし、この歳で今の環境を捨てて漫画家を目指す??さすがにないない!!って思っていました。

 僕は若い頃からずっと漫画オタクですが、周囲で漫画家や編集者のようなプロ指向だった人たちは、とっくにプロになったり、アマチュアとしての活動に意味を見出したり、プロの夢を諦めたりしていて、周囲との切磋琢磨なんかがあったとしたらそのチャンスは五年、十年前に過ぎていました。

 なので、毎回コミティアで自分の好きなことを漫画にして、同人誌を作るだけでも満足していたと思います。

 

 その気持ちに変化があったのは、確か2019年の2月のコミティアです。いつものように会場の自分のスペースでぼんやりしていたら、夕方にヤンマガの編集さんが来てくれて「この本を朝買って読んだのですが、面白かったので、ちばてつや賞に出してみませんか?」という提案を貰いました。

 そのままでいいなら出してみようかなと思って、原稿のデータを送り、どうなったのかなと思っていたら、佳作を受賞しましたと連絡を貰って、ほんとかな??と思っていたらヤンマガに受賞情報が載っていたので、本当だったんだなーと思いました。

 受賞作はこれです。

comic-days.com

 

 そのときに、色んな人に漫画を褒めてもらったりして、仕事をしながらでも漫画を描ける調整はできるかもしれないという話も編集さんとして、そこで初めて、自分が漫画家になるという道が現実としてあり得るんだなと思いました。

 当時既に37歳なので、先が見えてきたオッさんのくせに、自分の人生にいきなり色んな可能性が現れた気持ちになったので、面白くなってしまったと思います。

 

 ただ、そこからが、あんまり上手く行かない感じでした。連載に向けてのネームを作ってみたのですが、読み切りの同人誌をこれまでは作っていたので、短いひとつの話を始めて終わらせることはできても、続けて長い話を作るというノウハウが全然なく、連載用のネームを作っている途中で「これおもしろいか?」という気持ちが後から後から湧いてきてしまって、全然描き進められなくなり、色々上手く行かないなと思っていたら、そこでコロナ禍に突入しました。仕事の状況も色々激変して、その忙しさにかまけていたら、いつの間にか2020年も終わってしまっていました。

 今思うと完成度は低くても早めに編集さんに相談してたら、この停滞はなかったような気もするのですが。

 

 停滞していながら思っていたんですけど、このまま本業の仕事を淡々としていても僕の人生は大丈夫なんですよね。でもだからこそ、漫画をやらないと思ったら、やらないままにすぐに何年も経ってしまうだろうな…と思いました。

 そして、40代に突入したらきっと今より体力はなくなっていくので、後になるほどに余計にどんどんやれなくなるだろうなと思ったりもしました。可能性がゼロになっていきます。

 

 だから、「やるなら今だろうな」と思ったのです。なので、2021年は漫画家になろうかなと思いました。

 

 ここからはやけに都合のいい話なんですが、気持ちを盛り上げて、ヤンマガ用の連載ネームに再び手を付けようと思っていた矢先に、コミティアの同人誌やネットに公開していた漫画をきっかけとして、複数の雑誌の編集の方々からちょうどよいタイミングで声をかけて頂いて、とりあえず一回読み切りを描いてみませんか?という提案がありました。

 実際そんな都合がいいことがある??と思いましたが、あったんだから仕方がありません。読み切りならば、お話作りは同人誌と同じはずななので、最後まで描けるかもしれないと思いました。まずはできることからやっていこうということです。

 

 そこで描いたもののひとつが今月発売されたコミックビーム(2021年8月号)に載っている「へレディタリー/極道」という漫画です。こちらは、2020年に商業用のネームは描けないと言いながらも、なぜか同人誌の方はスイスイっと描けてしまっていたので、2020年の秋に開催されたコミティアで出したものをベースにして、別物としてリメイクした内容です。

 

 編集さんとやりとりをしながら最後まで完成させられた経験としては初めてのもので、おかげで当初案よりも面白くできたなと思って良い経験になりました。面白い漫画ができたと思うので、良かったら買って読んで下さい。

 

 ここで、単発の読み切りとはいえ、原稿料を貰って商業誌に漫画が載ったので「漫画家になる」という今年の目標はひとまず達成されたなと思います。ただ、自己認識として自分が漫画家か?と聞かれると、今はまだ、たまに趣味で漫画を描いている中年漫画オタクでしかないのですが…。

 

 ただ、コミックビームに掲載されたのは本当に嬉しかったです。なぜかというと、僕は三宅乱丈先生の大ファンで、特に「pet」という作品が大好きかつ、さらにビームで連載されていた「イムリ」も大好きだったので、同じ紙面に載ることができるということがめちゃくちゃ嬉しかったからです。

 なおかつ、今は「pet」の続編の「fish」の連載が始まっており、大学生のときにpetの最終回で終わってしまった悲しさに暮れていた自分に、お前は十数年後に同じ雑誌に漫画が掲載されるぞ!と教えてあげたくなります。

 感想も色々書いています。

mgkkk.hatenablog.com

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 さて、続いて、来月発売のヤングキングに「いじめ撲滅プログラム」という漫画が載ります。こちらはページ数が多いので前後編の構成の読み切りですが、ヤングキングは月2回刊行なので、8月に出る2冊にそれぞれ掲載される予定です。

 

 ヤングキングの編集さんからは2020年の春先に一度声をかけて頂いていたのですが、その後、コロナ禍があり、その中での仕事のやり方とかが落ち着いてきた数ヶ月前から、やり取りを再開したという経緯があります。

 こちらは原作がある漫画なのですが、元々の原作は漫画用のものではなく、ドラマのシナリオの形式だったのもあって、これを漫画として演出するというのは自分にとって勉強になりそうだなという打算もあってやらせて貰うことにしました。

 

 つまり、ある物語があったときに、それが漫画になるという変換の過程で、自分が漫画をどのように捉えているかが明確になるのではないかと思ったからです。ネームを作る過程で、色んなことを考えたので、かなり自分の考え方を言語化することができました。そして、かなり好き勝手に再構成させてもらったので面白かったです。

 こちらも面白い漫画になったと思うので、是非読んで頂ければ嬉しいです(前編掲載号は2021年8月6日発売です)。

 

 今後の活動としては、まだモノになるかが不透明なので何も言えませんが他にもいくつかの出版社からも話を頂いていて、ネームを提出したりしています。

 とにかく漫画を描くということに対して始めるのが遅く、年齢に対して経験が少ないので、何でもいいから商業誌に載せることを想定した完成原稿を1枚でも多く作ることが自分のスキルアップに繋がると思うので、幸運にも色々話を頂ける間は積極的に引き受けていきたいなと思ったりしています。

 なお、もっと早くからやってればなあという気持ちは特になくて、自分が漫画を描いたりできるようになったのがこのタイミングだから仕方ないなという認識があるだけです。

 

 自分がいつになったら心から「漫画家になった」と思えるのかはまだ分かりませんが、連載をするとか、単行本を出すとか、色々まだやっていないこともあるので、次の目標としては、そこまで辿り着けたらいいなと思っています。

 本業の仕事をしながら、どれだけ取り組めるかがネックなので、お話作りや作画をどれだけ速度を出してやれるかが重要なところだと思います。そこは、本業でやっているプロジェクト管理や作業プロセス改善などを、自分自身に適用して上手いことやれればと思って試行錯誤をしている状況です。

 

 自分で言うのもなんですが、この状況って結構面白くないですか?普通の人ならとっくに夢を諦めてるような年齢になって、なんか好きなようにしていたらいつの間にかお金を貰える仕事になったりしているというのが。

 

 あと、大学時代の漫研の先輩に先日言われたんですけど、漫画が好きで、自分が好きな漫画を良いの悪いのばっかりずっと言って来たような人間は、いざ自分自身で創作しようと思ったときに作れないことが多いのに君は不思議だねって話がありました。

 ただ、これは逆じゃないかと思っていて、僕は自分が好きな漫画のどこが好きかをこのブログとかでずっと淡々と書いてきていたので、つまり、自分が作るときにも、自分が面白いと思うものが何であるかが既に具体的に言語化されていたんですよね。なので、それを応用した、自分が良いと感じる内容を自分なりに再現すれば、自分が好きなような漫画は作れるということです(ただし、それが他の人にとっても面白いかは未知数)。

 それを考えると、漫画を読むのが好きすぎて漫画が作れなくなるというのは、おそらく、漫画の悪いところを見つける方に注力してしまう場合かなと思います。つまり、そっちの場合、自分が作ったものでも悪いところばかりが目につくので、自分が作っていることそのものが苦痛にまみれてしまうからなのではないのかということです。

 

 とにかく、漫画家になるぞ!と思ったら、ある種、漫画家になったような雰囲気にはなったので、やってみるもんだなあと思いました。皆さんも中年になってからでも、急に何かをやってみると面白いこともあるのではないでしょうか??