漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

イエーイ!漫画オタクをやっててよかった関連

 僕は他のみんながちゃんと自分の人生をやっている間、ずっとひとりで古本屋で漫画を読んで過ごしてきたような人間です。それは、子供の頃は色々あって、そうやって自分の人生から目を逸らさないと日々やってこれなかったということだと思っていて、だから漫画が身近にあったことにとても感謝をしています。

 

 今は大人になり、色々忙しくて漫画を読む量はさすがに減ってしまいました。昔は本屋にある少年誌と青年誌は全て読んでいて、古本屋も棚の端から端まで読んでいたので、そこそこ漫画に詳しい人のつもりでした。ただ、今ではもうあんまり漫画に詳しくない人だなと思います。読めてないものが多いからです。昔はちょっと詳しい人のつもりで発言していましたが、今はそんなに詳しくない人として発言をしています。

 

 僕が今よりももうちょっと漫画に詳しかった時期には、読んで面白かった漫画の話を活発にしていて、この漫画はこのように面白いという話を友達に聞いてもらうのが好きだったので、podcastをやったりブログを書いたりをしていました。厳密に言うと今もそういうことはしているのですが、他に色々やらないといけないことがあり過ぎて、あまりできなくなっています。

 

 当時そういうことを活発にやっていたモチベーションのひとつとしては、自分が好きな漫画について検索して出てくる感想群への「反発」がありました。なんだそれ?と思うかもしれませんが、ざっくり言うと、自分が好きな漫画が、ネットで出てきた文章の中ですごく粗雑に面白くないと言われていたりして、そんなことはないだろ!これはめちゃくちゃ面白いだろ!という気持ちが出ていたということです。

 評論的な分野では、評論家の自己アピールとして、「作者よりも自分の方がセンスが良いと示すために作品をけなす」みたいな行為がよく行われていると思います。

 それをしたくなるのは分かりますし、別にそれをやってはいけないとは思いませんが、その理屈で言うと「一番面白いものを知っている人は、この世にあるあらゆるものを面白くないと断じている人」という話になるので、それは違うだろうと思うんですよね。

 

 これは別に「褒めることだけをやれ」というわけでもなくて、褒めるにせよけなすにせよ、そこで自己アピール成分を出し過ぎないことと、そして粗雑なやり方ではなく、もっと具体的に詳しくやった方がいいんじゃないかというのが僕の価値観です。

 

 ただし、それが良いと思うなら、他人にやらせようとするよりも、僕自身がやった方がいいだろうなと思いました。僕が面白いと思っていることを具体的に説明して、それがネットの検索の上位に出てくる方がいいだろうなという考えになりました。僕の感想でネットを汚染してやろうという暗いモチベーションがそこにありました。

 

 なので、自分なりに、この漫画がどのように非凡で、どのように面白いかを書き連ね続ける感じになります。それは後々に、僕自身が漫画家としてデビューすることの下地になりました。面白い漫画を描きたいと思ったときに、何が面白いのか?どうすれば面白く描けるのかは色々感想文として書いていたので、それらを応用して今の自分の表現をしています。

 ちなみに当時は自分が漫画家になるということについては、考えたこともありませんでした。若い頃に漫画を描こうとして上手く描けなかったこともあり、そもそも自分にちゃんとした漫画が描けるはずがないと思っていたからです。しかし、人間万事塞翁が馬、何が役に立つか分からないものですね。

 

 他人の感想を読んで気に食わないなと思ってきたことが、漫画家になる上でとても役立ちました。

 

 これらの漫画の感想を書いたり喋ったりする活動は、別に誰かの役に立ちたいと思ってやっていたというわけではありませ。「この漫画が面白いと感じる自分の頭の中」と「この漫画が面白くないと言われている自分の頭の外」が大きく乖離していることが嫌だと感じてしまって耐えられなくなり、その差を少しでも埋めてやろうという、自己利益のためにしていた活動です。

 ただし、その副次的な作用として、同じ漫画が好きな人に喜んでもらえたり、よく感想を書いてくれる人として作者の漫画家さんにも喜んでもらえたりということがありました。

 

 例えば、何年も前にコミティアに出ていたときに、知らない人がスペースに来てくれて、「以前、感想を書いて貰った者なのですが」と言われ、何の話だ??と思ったら、それは当時アフタヌーンで「螺旋じかけの海」を不定期連載をしていた永田礼路さんでした。僕がブログに感想を書いていたのを読んでくれ、コミティアに僕が参加しているのを知ったので、わざわざ挨拶に来てくれたのでした。

 永田さんはその後「螺旋じかけの海」の連載を出版社から自分でひきとって、個人で完結させるまで描きます。今ちょうどその回顧録を漫画で描いているのでオススメです。その回顧録を読むと、コミティアで初めてお会いしたときは、「螺旋じかけの海」の連載を今後どうすべきかを悩んでいらっしゃった時期だったので、そんなことも知らずに僕は、連載の続きを楽しみにしています!みたいな雰囲気だったと思います。とにかくこの前出た完結巻はめちゃくちゃ良かったのと、この分量を個人の活動で最後まで描いたのが本当にすごいなと思います。

 感想を書いたという縁で、永田さんとは今もコミティアで交流をしています。

 

 別で書きましたが、寺沢大介先生とも長いファン活動の末、今とても良くして頂いていて、ファンをやっていてよかったなと思っています。

mgkkk.hatenablog.com

 

 いそふらぼん肘樹さんも、最初は「神クズ☆アイドル」の特に瀬戸内くんというキャラクターがめちゃくちゃ好きで、これホント良い漫画なんですよと僕がオタクの早口でネットで話していたのを聞かれたところから縁から始まり、今では友達になって、たまに遊んでもらいます。

 

 直近だと、一度お話しただけなので名前は伏せますが、ある漫画家さんにご挨拶させてもらうタイミングがあって、そのときに「前から色んな漫画をプッシュされてましたよね?」って言われて、昔からの漫画オタク活動の部分を認識してもらっていたのと、「みんなが喜んでいたと思いますよ」と言ってもらって、僕が自己顕示欲のためにやっていた活動が、多少なりとも人の役にも立っていたなら、本当に良かったなと思いました。

 

 他にもおおっぴらに言わないような色々が本当に色々あり、僕が漫画オタクとしてやっていた活動が、近年はとても良い形で返ってくることが多く、漫画オタクを続けていた過去の自分に、おい!お前!それやったことによる良いことが、そのうちめっちゃあるぞ!と伝えたくなります。

 

 ただ、結果的に交流が生まれたりもしていますが、漫画オタク活動は別に、好きな漫画の作者さんと仲良くなりたいと思ってやっているわけではないというか、僕はとにかく今でも対人関係が不得手なので、人と接したら嫌われる可能性の方が高いと感じており、好きな漫画の作者さんには嫌われたくないので、あんまり積極的に近づきたくないかも…と考えており、話すこと話したら逃げてしまいたいといつも思ってしまいます。

 でも、そのわずかなやりとりの繰り返しの果てに仲良くなることなどもたまにあるという話です。そこまで至れた場合は、それをとても嬉しいと思います。その嬉しいがいくつもあるって話です。

 

 このように、ここ最近は特に、昔の自分が漫画オタクとしてやってたことによる今嬉しいことが本当に沢山あって、漫画オタクをやっていて本当に良かったなと思っています。

 このままずっとずっとラララこんな感じに続いてほしいです。