漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

コミティアのおかげで大切な仲間とも出会えたよ関連

 創作系同人誌即売会コミティアで人間関係ができる話なのですが、この前聞いた話では、見知らぬ人の同人誌が、自分のスペースに置かれており、これはサークルの誰かが置いたのか?と思って確認したものの誰もおぼえがなく、しかし、読んでみたら面白い漫画で、これはもしかしたら誰かの知り合いが来て置いて行った本なのかな?と思い、その同人誌のサークルまで足を運んでみると、やっぱり全く知らない人であった、ということがあったそうです。

 

 その後、その人は漫画が面白いという理由から、面識もないのに勝手に漫画を置いて行った先のサークルの本に寄稿したりするようになり、漫画が面白いということは、本当にすごいことだなと思います。これは後にエアコミティア の王と呼ばれるkmcさんのエピソードです。

 

 同じことをして上手くいくとは限りませんし、むしろ気持ち悪がられる可能性も大いにあります。しかし漫画が面白ければ許してくれる人もいて、そこから人間関係が生まれたりするので、漫画が面白いということはすごいことだなと思います。

 

 僕も、コミティア関係で仲良くなった中野でいちさんとあらばきさんと一緒にYouTubeのラジオをやったりしていますが、これに関しても、僕がスペースに挨拶に行くと同時に、自分の同人誌を読んでくださいと渡したのがきっかけのひとつです。

 一生懸命作っている同人誌は、人間の脳味噌の煮凝りみたいなものなので、読むことで、軽く話すことの何倍もの相手への理解が生まれますし、人間関係がなくともお互いの同人誌を読んでいれば、来るべきときがきたときにはスッと仲良くなれたりします。なぜなら相手のことを既に十分知っているからです。

 

 コミティアマンたちはシャイな人も多いので、お互いに名乗らず本を買いあったりしているのですが、あるときに意を決して名乗ったりすることがあり、名乗ったりすることで急速に仲が良くなったりしていきます。

 それは最初から名乗ればいいじゃんという話でもあるかもしれませんが、その奥ゆかしさというか、相手のことを十分知って、自分のことも知って貰えているということをしばらく繰り返してきたからこその安心した声かけ事案であったりもすると思っていて、結局仲良くなりにくいというのは、その人がどんな人かわからないときって感じがしますね。

 

 絵描きは絵描きとしか仲良くしない、みたいに言われることがあり、それは実際は別にそんなことはないのですが、絵描き(に限らず創作をしている人)は、常に自分を外に向かって開示しているために、この人がどんな人であるかということが分かりやすく、どんな人か既に分かっているので、仲良くなりやすいという効果はあるように思います。絵描きと仲良くなりたいと思う人だって、そうだからそう思ったりするのではないでしょうか?

 人には相手のことを一定以上知らなければ警戒心が働き、警戒心が働くからこそ、相手のことをなかなか知れないということがあるように思います。というか、僕自身はその自覚があります。だからなかなか人と話せるようにならないんですよね。

 

 ただ先日、イベントで初対面の漫画家さんと楽しく話せたのですが、それは互いに相手の漫画を読んでいたからという部分があると思っていて、この人が描いている漫画を何年も読んでいるという気持ちがあったので、この漫画を描いている人なら、という理由から、非常に警戒心の強い僕が割とすぐに心の中身を晒すことができました。

 人と仲良くなるには、自分の中身を外から見えるように晒すことが重要だなと思う一方で、むき身の自分を晒すと傷つく可能性も上がるので、その辺は簡単にはできないこともあるよなと思います。

 

 僕も6年ぐらい、ひとりでやってきてひとりで帰るようなコミティア活動をしていますし、今もどこかに属している気持ちもないのですが、コミティアで本を買うことで好きになる人がどんどん増えますし、自分の本も読んでもらえて、好意的に声をかけて貰えることも増えたので、なかなかやっとるやんけと思ったりします。

 一方で、あんまり可視化はされていないものの、心の中身を本として曝け出しているからこそ、嫌われていることなどもあるだろうなと思っていて、そこはなかなかコントロールできるものでもないだろうなと思います。

 

 今月のコミティアには、同人誌の既刊の他に、商業の単行本を数冊持って行ったのですが、思いついてしまったことがあり、高校の頃から二十数年大好きで追いかけている漫画家さんも参加されていたので、その本を買わせてもらうときに「これ僕が描いた本なのですが良かったら読んでください」と逆の手で自分の単行本を押し付けてきました。

 迷惑かもしれないが、思いついてしまった、知って貰えるかもしれないという強い気持ちが抑えられず、今までラブレターって送ったことないですが、きっと送るときはこのような気持ちなんだろうなと思いました。

 

 先方からは、本を見て「この漫画知ってますよ」って言って貰えて、めちゃくちゃ嬉しくなり、泣きそうになってしまったのでそそくさと逃げ帰ってきましたが、とにかく読んでくれたら嬉しいなと思っており、一方で、本を買う逆の手で自分の本を渡すという技は、コミティアでは時折使われており、受け取り拒否ができない卑怯な技なので、嫌がられる可能性も大いにあるぜという気持ちもあり、やって良かったのか悪かったのかは分かりません。

 まあとにかく取り返しはつかないが、人が生きるということはそういうことの連続です。やっているぜ人生を。