漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

単行本作業がだいたい終わりました関連

 ご存知の通り来月、僕の生まれて初めての漫画の単行本「ゴクシンカ」と「ひとでなしのエチカ」が2冊同時発売されるのですが、その単行本を作る作業がだいたい終わりました。あとは僕が何もしなくても本が出るはずです。やったぜ!

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 以前、小説家の平山夢明氏が、自分が今まさに書いている本のAmazonの予約が既に始まっているのを見て、「ひょっとしてこの小説を書かなくても本は出るんじゃないか?」と思って書かないでいたら、本は出なかった、というエピソードを披露していました。それを思い出し、確かに既に予約は始まっているが、前例の通り自分が全部作業をやらないと出ないぞ!!と強く思ったので、作業をやりました。

 

 表紙で使う絵を描いたり、オマケ漫画を描いたり、デザインをチェックしたり、原稿の修正が必要なところを確認したりです。2冊同時にやってたのもあって、色々チェックしないといけないものがあったり、僕は平日は朝から夜まで会社員の仕事をしているので、遅めに時間にデザイン関係の打合せをさせてもらったり、仕事が終わってから出版社に訪問させてもらって確認したりと、色々あり、面白かったです。

 

 僕は会社員の生活+同人活動から、会社員の生活+漫画の仕事を兼業に移行したこともあり、単行本を作るということを同人誌を作ることと比較して見てしまうことがあります。

 そこで思うのは、商業誌の単行本を作るのって、僕の規模の同人活動と比較して、なんて恵まれているんだ…と思うということです。

 

(1)他人のお金で沢山刷れる

 同人活動は売れる数や在庫を抱える数を考えた結果、早めに売り切りたいので、僕の場合は100冊前後しか刷ってきませんでいた。でも、商業出版では少なくとっも数千冊以上(実際何冊刷られるかは言えませんが)の本が刷られます。

 僕個人では絶対にそんな数は刷らない(刷れない)ので、他人の金でたくさん刷れて嬉しいなと思います。

 

(2)在庫を自宅に抱えなくていい

 たくさん刷りたくない理由ですが、一回の即売会で売れたりしないので、仮に長く売るために沢山刷っておこうと思っても、自宅に大量の在庫が存在するだけで嫌になると思います。また、売れる本の在庫は資産なので、大量に余っている状態は嬉しくないなと思います。

 しかし、出版社が刷ってくれると、出版社や取次、通販の倉庫や店頭で在庫として取り扱ってくれるので、自宅に本を大量に置く必要がないので嬉しいです。

 

(3)作るためにお金を出して貰える

 同人誌は自分ひとりで勝手に作っているので、全ての原稿に原稿料が出ませんし、単行本の製作費も出ません。販促費なんで出るはずもありません。でも、出版社の依頼で原稿を描いていると、都度お金が出てくれて助かります。

 本を出す前にそこそこの原稿料などが入ってくるし、単行本制作にもお金がもらえる(出版社が最近は多い)し、刷った段階で刷った分だけの印税も貰えるので、本が出来た瞬間に、まだ売れてもいないのにお金が貰えて、黒字になります。

 同人活動は基本的に、印刷費とイベント参加費が売り上げと釣り合うような活動をしてきたので、漫画を描いて黒字になるということに驚きがあります。

 

(4)色んな人が手を貸してくれる

 これが一番良いところと言っていいかもしれません。同人誌は完全に一人の活動としてやっているので、あらゆる作業を自分自身でやらないといけませんが、商業出版は違います。描いたそばから編集さんが最初の読者として確実にコメントをくれますし、世に出る前にそれを参考に修正することができます。ロゴや表紙のデザインもデザイナーさんがめちゃくちゃカッコよくしてくれますし、この先は、出版社の人や書店の人がお店で売るために動いてくれます。

 ひとつの本を売れてほしいと思ってくれる人が、読者も含めてどれだけいるかっていうのは、その本がこの世に存在する強度を高めてくれるものだと思っていて、その意味で、僕の本は同人誌より商業誌の方が存在が強い感じに思うんですよね。

 

(5)全国の書店で売って貰える

 自分の同人誌を全国の書店で売って貰えることってないと思うんですけど、商業出版された本は書店が仕入れてくれるかは別として、全国の書店で売られる可能性があります。僕は本屋がとても好きなので、自分の本が売って貰えるのは嬉しいなと思います。

 

 さて、商業出版は同人活動と比べてめちゃくちゃ僕に都合がいいことが沢山あり、商業出版をする機会を得られてとてもよかったなと思っています。

 

 じゃあ、同人活動はやらないのかというと、今も毎回コミティアに出ていることから、別にそんなことはなくて、同人誌には同人誌の良いところがあります。

 

 例えば、僕が出した同人誌を買ってくれる人は、確実に僕の目の前まで来てくれるのが良いところです。書店で売れれている本が売れている瞬間を見ることはほとんどできませんが、同人誌は誰が買ってくれているかが見えるし、直接感想を伝えて貰えたりします。そういうのが良いんですよね。

 

 あとは、どれだけ粗雑な作り方をしても同人誌は何かしら机の上に紙の束が存在していれば良いので、ギリギリになってもなんとかなりますし、基本的には自分以外の他の人に迷惑のかからない活動なので、気が楽です。出したければ出せばいいし、別に出さなくても問題がありません。

 めちゃくちゃな内容を描いて、全然売れなくっても自分の手元に在庫が残るぐらいですからね。ダメージが少ないです。

 

 スピードが速く、めちゃくちゃ自由で、読んでくれる人が良く見えるのが同人誌の良いところで、それは商業出版とは別軸で存在しているものだなと思います。

 

 とにかく本が出ます。本が出るのが嬉しいぜ。