漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

漫画の宣伝をだいたい一ヶ月やった雑感関連

 単行本が出たことだし、漫画の宣伝をやるぞ!!と思い、漫画の宣伝を一ヶ月やりました。この文も宣伝として活用できそうなので、リンクを貼ります。

www.amazon.co.jp

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 宣伝をやりながら色々思うところがあったので、そこの話をします。3パターンの宣伝をやりました。

 

(1)僕から1歩で届く人への宣伝

 これはすごく分かりやすくて、例えば直接の知り合いや、インターネットやコミティア、雑誌の連載などで僕を知ってくれている人に向けての宣伝です。基本的に僕に最初から好意的な人が多く、本が出るという話をすると、買いますと言ってくれる人たちで、本当に感謝をしています。

 この人たちには、漫画の単行本が出るという事実だけを教えるだけでいいので、Twitterやブログなどで本が出ますと書けば買ってくれたりします。この層が100万人いれば安泰ですが、実際はそんなことはなく、僕の場合は多く見ても数百人というところです。

 この層にだけアピールをする場合、コミティアで同人誌を売っているときの部数を考えても百冊以上は買って貰えると思いますが、商業出版は数千冊以上の世界なので、そこには全然足りません。

 

 強烈な人気者であれば、その層だけで充分売れることもあると思います。なので、強烈な人気者は必死の宣伝をしなくてもよく、あまり宣伝に必死でなくてもいいのでカッコいいかもしれません。もちろん強烈な人気者が強烈に人気になったのは、それまで培ってきたものの積み重ねがあるわけで、それは天から与えられたものではないでしょう。

 

 なので、僕はまだその地道のスタートラインに立ったところで、これからこの層の人たちを一人でも多く増やしていく必要があると思っています。

 沢山の人に漫画を好かれたいぜ!!

 

(2)僕から2歩以上で届く人への宣伝

 1歩で届く人で足りないなら、2歩以上で届く人への宣伝が必要です。それはつまり、僕から1歩で届く人たちが、さらに別の人に紹介してくれることで、知り合いの知り合いに届くということです。

 これは例えば、Twitterでのリツイートに相当します。知っている人が100人だけでも、それぞれが別の知り合いが100人いれば、雑に考えれば10000人に届く可能性があります。

 

 なので、僕が宣伝として自分でやるべきことは、Twitterに漫画を貼り、それをリツイートして貰うことだなと思いました。

 

 ここで考えるのは、誰かに1回リツイートしてもらったところで、それが2歩目の人に確実に届くとは限らないということです。例えば、その時間にTwitterを見ていないかもしれませんし、逆に大量のツイートがあり過ぎて埋もれてしまうかもしれません。なので、何回もリツイートしてもらいたいんですけど、僕自身そうですが、普通は1回リツイートした漫画を、リツイートを解除してまたリツイートしてくれることはありません。

 そこで、僕は直接的に、「1回リツイートしたとしても、解除してもう1回してください!!」とむちゃくちゃなお願いをしました。しかしながら、皆さん善良な気のいい人たちばかりなので、僕の言うしょうもないことに笑ってもう一回してくれたりする人が何人もいたので、ホント気のいいやつらばかりだよと思いました。

 

 また、2歩以上先にいる人に届くかというところには、その1歩目の人たちがどのような人であるかというところも関わってくると思います。こういう物言いは問題もあると思いますが、実際的な話として、その1歩目の人が漫画関係の有名人であれば届く範囲は特に広くなり、さらに3歩目以降のリツイートされ率も上がってくるという実感があります。

 

 ここで僕が幸運なのは、僕は長年インターネットで漫画大好き活動を繰り広げてきたり、コミティアでの人間関係があるので、漫画家さんの知り合いが無名の新人にしてはたくさんいるということです。その人たちが拡散に協力してくれるのでめちゃくちゃ助かりました。漫画家さんのフォロワーは漫画が好きな人の割合が大きいと思うからです。

 人の温かさに助けられており、せっかく協力してくれているのだから、ちゃんと売れて、皆さんの見る目、ありましたよと胸を張って言えると良いなと思っています。

 

 とはいえ、最初に単行本からの漫画の抜粋宣伝を行っていくときは反応が良くても、徐々に反応は減っていきます。これは出汁をとるのに似ているなと思っていて、新しい鰹節を使った1番出汁は味が濃く、2番出汁もまだまだとる意味がありますが、同じ鰹節を何回も煮ていくと、最終的には「ただのお湯!!」となってしまうと思います。自分の宣伝ツイートを何回も何回もセルフリツイートしていく過程で、段々と皆さんの反応もなくなっていき、「お湯!!」と思いました。

 これは当然そういうもので、一回見たものは新鮮さがなくなってくるので、広めて貰う意味合いがどんどんなくなってきます。それでもN番出汁までとれてたので、なかなか良かったなと思っていて、協力してくれた人はサンキューという気持ちがあります。

 

 もう十分出汁をとりきったし、やりきったなと思っていたら、編集さんから「関係ない漫画を貼るという方法もありますよ」と別の漫画家さんの事例を教えてもらったので、また新鮮な出汁がとれる!!と興奮し、過去の同人誌を貼ってはまだ新鮮な出汁がとれるぞ!!と楽しくなってきました。

 

 宣伝効果については、漫画のKindleのランキングを確認して把握しており、なんらかの宣伝行為をしたあとで、ランキングが上がっていることを確認することで、あれで買ってくれた人が何人かいるっぽいなと判断していたりします。宣伝をすると分かりやすくランキングがあがるので、ここにはゲームっぽさがあり、面白く感じています。


(3)ジャンプすると届く人への宣伝

 最後は自分からは直接は届きにくい人に対して、一足飛びに届く可能性のある方法です。それが上手く行くと、自分が日頃属しているのとは異なる文化圏に届く可能性が高まるので、宣伝効果が高いのではないかと思います。これは例えば賞をとったり、メディアに取り上げられるなどが該当しますが、自分でコントロールできるわけではありません。

 

 自分でやれるひとつの方法としては、特に直接的に交流のあるわけではなかった人に献本を送りつけるなどにより言及してもらい、それが宣伝になるという方法です。こう書くと、「そうやって人を宣伝のための手段としかみていないのか?」と言われたら、いや!!そうではないですよ!とは思うものの、でも、その気持ちもないとは言えないので、完全な否定はできません(やっぱり言及してもらって少しでも売れたら嬉しいわけで…)。

 ただし、自分の中のルールとしては、献本に関してはこの人に読んでほしい!という気持ちがある人にのみ向けてやっていて、その上で言及もしてもらえたらラッキーというぐらいの気持ちです。読んでほしいのは。単純に僕がその人のファンであるからとか、この人なら漫画の内容をよく分かってくれるのではないか?という勝手な期待からであったりします。

 

 例えば、僕は「匿名ラジオ」を全部聞いているという理由で、この人なら僕の漫画に描かれている気持ちを理解してくれる人かもしれない…という思い込みが発生し、読んでもらいたいな…という気持ちになったため、ダ・ヴィンチ・恐山さんには献本をしました。

 面識もないくせに編集さんに頼んでオモコロ宛に送りつけたので、ご本人にちゃんと届くのか?届いたところで読まれるのか?は不明でしたし、知らない人から送られてきたぞ!と困惑させてしまうかもしれない!と思いましたが、幸運なことに漫画を読んで頂いて、YouTubeの配信の中で感想も貰えたので、めちゃくちゃ嬉しく、めちゃくちゃ嬉しいぜ!と思いました(また恐山さんが今月出した新刊もこちらに献本頂いてしまい、本当にありがたい!!と思いました)。

www.youtube.com

 

 自分の描いている漫画には、自分の考える面白い要素を詰め込んでいますが、その面白さが、自分以外の人にとっても面白いかどうかは分かりません。それを面白いと感じる人が世の中に少数だったときには、その少数の人にまで適切に届かないことの方が多いと思います。

 だから、この人ならば分かってくれるのではないか?という人を見つけるとピンポイントで送りつけるということには意味があると思っていて、能動的に動くことで適切な読者に届くようにしたいんですよね。

 

 とにかくこの3種類の宣伝を組み合わせて色々試してみました。やらなかったらどうだったかは分かりませんが、やるだけやったので満足感があります。


 昔、知っている新人漫画家さんが、連載作が打ち切りになったときに、「カッコ悪いと思って自作の宣伝はあまりしなかったけど、なりふり構わずしまくっていればもうちょっと連載が続いたかもしれない」という後悔をしていたのを目にしました。

 

 僕の単行本も現状そこそこ買ってもらっていてありがたいものの、別に爆売れしているわけではないので、いつまで続くのかはまだ分かりません。ただ、もし売れないからという理由で比較的短く終わると決まった場合に、「あのときもっと宣伝をやっていればよかったな…」とは思いたくないなと思ったのが、今宣伝をバリバリやりまくっている理由のひとつです。

 仮に終わったとしても、あれだけ全力で宣伝したけれど、届かなかったのだから仕方がないな、次はそれを踏まえてもっと届く漫画を描くぞ!!とポジティブに次に行ける気がするんですよね。

 

 自分的に悪い状態だと思うのは、「あれは面白い漫画だったのに、上手く人々に届かなかっただけで、届きさえすれば売れていたかもしれない…」という可能性の世界に閉じこもってしまうことです。その場合、その状態を脱する手がかりもないので、ずっとそこそこ居心地がよいそこに居続けることになってしまうかもしれません。それが嫌なんですよね。

 

 また、宣伝をいっぱいやっているのは、そういう自分の頭からネガティブを排除する意味もありますが、単純に漫画に反応があると面白いというのも大きいです。僕は自分のことは分かっても他人のことは分からないので、自分の漫画が他人にどのように読まれるのか?ということは人に読まれて、その反応を見なければ分かりません。

 そういう意味もあり、今後どのように漫画を描いていくかの参考にするためにも、今の漫画がどのように読まれているかを観測できる状況を作れる宣伝は意味があるなと思います。

 

 「ゴクシンカ」も「ひとでなしのエチカ」も、まずは続刊します(今のところ2巻が出ないということはないはず…)。次に出る本が今回と同じ程度売れるのか、1巻が満足のいかない出来だったため、減ってしまうのかはまだ分かりません。

 基本的に漫画は1巻より2巻が売れることはないので(1巻を買わずに2巻を買うような人がマジョリティでないかぎり)、当然のこととして2巻の部数が1巻を刷った部数よりも増えることはないものです。

 なので一般論として、漫画の連載はだんだんと部数を減らしながら連載を続けていくものですし、そこに別に感情はありませんが(当たり前なので)、単行本は巻を重ねられた方が強いので、1巻に満足してくれた人が2巻も買ってくれるといいなと思いますし、1巻を買ってくれた人が面白いと別の人たちに伝えてくれて、1巻が増刷されたりすれば、また続く可能性も上がります。

 

 まあとにかく僕は次の話を面白く描くのが仕事で、なおかつ、僕は面白い漫画を描いているぞ!ということをできるだけ広くに伝えられるといいなと思いました。このいいなと思いましたは、そのために何らかの行動をし続けるだろうという意味です。

 その行為こそが宣伝です。