インタビュー記事が公開されて反響も多くてよかったなと思います。
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でもひとつ失敗した感じがするのは、僕が本当に伝えたかった、「会社の仕事をしていると忙しくて時間がないとか、時間があってもモチベーションが上がらなくて作業できない」みたいな悩みを抱えている人に、「自分が試して有用だったやり方を紹介する」という感じに読まれていないことも多く、「異常な人間が異常なことをしている」という、僕の意図とは逆の「自分にはできない理由があるものと」して読まれたりしているところです。
特に、僕の睡眠時間が4時間半程度であるということに、「そんな睡眠時間では体を壊す」「こいつは早死にする」「いずれ健康を壊して後悔するんだろうな」みたいなコメントがぞくぞくと寄せられており、そこが防波堤として睡眠時間の話ばかりがされて、僕が隙間の時間にこういう工夫で作業をぶち込んでることで、徹夜などをせずとも淡々と漫画の連載ができている話は、そもそも読まれていないのではないか?と思って悲しい気持ちになってしまいました。
近年の研究では、睡眠時間は長い方がむしろ死亡リスクと高い相関があるという結果もあるのですが、長く寝ている人には「死ぬぞ」と言われているのはことが少ないように思えるので、これは人の死を心配しているというよりは、「睡眠時間が短い人に死ぬと言う」というミームが流行っているんじゃないかなと思っています(水木しげる先生の話とかの影響で)。
そもそも睡眠時間が短いと死亡リスクが上がる話についても、食欲が強まることで生活習慣病になりやすいなどの機序などがあるわけですが、少なくとも僕は生活習慣病にはなってはおらず、会社の年一回の検診以外にも年四回ペースで自主的に病院に通って検査を受けて健康状態を確認しているので、今のところは問題ありません。
睡眠時間4時間半程度の生活を働き始めてから20年近くやっていますが、今のところそんな感じです。
だいたいが、眠いのを我慢して作業をしているわけでもなく、朝も目覚ましで眠いのに無理やり起きているのでもなく、眠くなったら寝て朝自然に目覚めて4時間半睡眠なんだから、それを淡々とやっているだけで別に何も精神的に無理はしてないんですよね。でも、僕が病気になったり死んだりしたら、睡眠時間が短かったせいだということに、インターネット的にはされると思うので、病気になったり死んだりせんとこと思いました。
というか、別に6時間寝ても隔週16ページの連載には余裕をもって間に合うような漫画の仕事の進め方ができていますし、僕がそもそも昔からそれぐらいしか寝ないで生活している人間という話でしかないんですよ。どうでもいいことです。でも、みんな睡眠の話が好き過ぎるからその反応ばっかりある感じがしていて、めちゃくちゃ無力感を感じました。
記事のタイトルに面白い誤字があると、中身の話じゃなくて誤字の話ばかりがされるように、人の興味を誘引するような睡眠の情報が話に含まれてしまったのがよくなかったなと思いました。
そんなことよりも、隙間時間にスマホでちょっとSNSを見るように、ちょっとずつでも漫画を描いたりすると、会社の仕事をしていても漫画の連載はそんなに辛くなくできると思います。僕は会社で毎月時間外労働を50〜70時間ぐらいしていますし(管理職なので制限がなく、やることは沢山ある)、出張で朝5時台の電車に乗って、地方で肉体労働をして帰ってくるなども月に何回もやってたりしますが、それでも全然連載できます。これは僕が異常にタフだからではなく、漫画の原稿を描くにはこれぐらいの時間が必要だと計算して、それを一日に分割して隙間時間を積み上げて、これぐらいの時間を確保すればできるという話でしかありません。
1ページの作画2時間程度かかるとして、16ページなら32時間、それを月に2回掲載なら1日2時間程度働けばいいだけです。通勤時間と昼休みで1時間半描ければあとは30分やるだけですし、休みの日に多めに働ければ、家に帰ってからは何もしなくても大丈夫です。僕が時間がかかっているのは、2本連載とか、読み切りを描いたりとか、同人誌をやったりとかしているからというだけなので、それは別にしなくてもいいんですよ。僕はたまたまそれを面白いと思っているからやっているだけです。
なので、漫画を描いてみたいし、商業誌の仕事をしてみたいけど、色んな事情で会社を辞めたりはできないと思っている人でも、チャレンジすることはできますし、そのやり方はあるので、それを伝えられるといいなと思ったのが僕の言いたいことだったので、そういう部分も読んでもらえるといいなと思っています。