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自分の漫画が「このマンガがすごい2024」のオトコ編で46位だった関連

 この前、このマンガがすごい2024が出て、載ってるよって人に教えて貰ったので電子版を買って読んだら46位に「ゴクシンカ」がありました。投票してくれた方々、まことにありがとうございます。

 マジで嬉しいのでマジでありがとうございます。

 

 このマンガがすごいは、毎年年末に発売されるムック本で、その年に単行本が出た漫画の中から、選者のアンケート投票の結果として、ランキング形式で上位ほど手厚く紹介される漫画ガイドです。

 毎年沢山出ている漫画の中から、どれを読んだらいいかで迷う人に対して、「これが面白いですよ!」と紹介してくれる本であると思います。

 

 このマンガがすごいは、投票企画としてはフェアな立て付けだなと思っていて、なぜなら選者が誰で、各自が何の漫画に投票したかが本の中でほぼ開示されているからです(ただし漫画家のタマゴが投票する枠は個人名非開示ですが)。それぞれの人や書店などの選者が、自分たちが人に薦めたいと考えた本を厳選し、その順位につけられたポイントが全体で合算されることで最終的なランキングが算出されています。

 

 その詳細を見ていて面白いと思うのは、投票される作品のばらけ方です。今回のオトコ編では、100人近い投票権をもつ人たちがそれぞれ5作品程度を選出し、300作品以上の名前が挙がっていると書かれています。つまり1票しか入っていない作品の方が多いということになります。

 

 なので、ランキングに入ってくるということは、「複数人が名前を挙げた」ということとほぼほぼ意味が重なってくるのではないかと思います。そう考えて過去のランキングを見てみると、各人の1位にはあまり選ばれていなくても、多くの人の印象に残り、名前が挙がった作品のポイントが複数人分合算されて、結果的にランキング上位となってくることもあったように思います。

 

 そういったとき、ランキングを見る人の中に「この作品が上位?」というような見方が出てくるかもしれません。なぜなら、この漫画が一番だ!と強く推している人の姿があまり見えない場合もあるからです。でも、一番ではなくとも沢山の漫画を読んでいる選者が限られた数しか選べない1作として、多くの人にひっかかるものがあったということは、それ自体意味のあることだとも思います。つまり、そこに問題があるとすればそれは、1軸の単純なランキングの中に様々な複雑なものが内包されていることが分かりにくいということでしょう。

 

 もう少し具体的に例示するなら、1位(10点)に選んだ人が3人いた30点と、5位(6点)に選んだ人が5人いた30点は同じ30点です。ここでどちらの点数の入りかたをした漫画が、このマンガがすごいという本の主旨に沿っているかということは単純には言えないと思います、ごく一部の人が強烈に薦めているものと、それよりも多くの人がそれなりに薦めているもののどちらがが、薦められる側にとって有効なオススメになるかは場合によるからです。選者との感覚がバッチリ合っていれば前者かもしませんが、レンジが狭く合わないかもしれません。そうなれば後者の方がレンジが広くて合いやすい可能性もあります。

 

 ランキングの結果に対する様々なコメントが例年見られますが、この本におけるランキングは投票結果としてこういうことになったというもので、それ以上の意味はないと思います。こだわりのある選者がそれぞれ独自の視点で作品を推し、たまたまそれが重なったところがランク上位となっているというだけのことです。

 そこで見るべきはランク外にも沢山の推されている漫画があるということではないかと思っていて、次に何を買えばいいかの参考になるのはそのランク外の部分も大きいように思います。

 

 一方で、本自体は買わずに発表されたランキングがどうであったかという情報の方が広まりやすく、その話だけする人にとっては、そこは不可視で不可知な領域になってしまうだろうなと思います。

 

 このへんの「ランキングとして見えるもの以外は見えにくい問題」は、切り口ごとに部門を分けたランキングにすれば解消しますが、それも結局、本を熟読するような人にとっては意味のあるランキングでも、結局この本自体は読まずに、ランキングだけ知ってコメントするタイプの人には届かないかもしれません。具体的な興味がないほどに数字しか気にされないので、「結局総合的に何が何位なのよ?」という部分しか広くは話題にされないのではないかと思うからです。

 その意味で、オトコ編とオンナ編が分かれていることについては意味があると思っていて、その分類名に関しては色々意見もありますが、結局オトコ編のランキングに出てくる漫画と、オンナ編に出てくる漫画の性質が異なるというところが重要で、一本化されたランキングだけでは見えないところが見えるようになっているという良さがあると思います。その意味で大きな切り口で二本あるのはいいところだなと思っています。

 

 46位になったことで、本が売れるということはそんなにないと思いますが(なぜならそれが大きく告知されることはないため人の目にそんなに触れないことだからです)、でも限りある投票権を僕の漫画に使いたいと思ってくれた人が複数人いたということが本当に嬉しいことでした。

 ランクインした「ゴクシンカ」も、ランクインはしませんでしたが連載中の「ひとでなしのエチカ」も、面白い漫画を描いているぞ!と思って描いているので、未読の人は読んでみてください。

 

 

 

 漫画活動は2023年も頑張ったので、来年も頑張りたいです。