漫画皇国

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花山薫からアベンガネへ関連

 花山薫は、刃牙シリーズに登場する男で、彼は格闘家のトーナメントに出場したりもしますが、格闘家ではありません。強いヤクザです。とても強いヤクザです。花山薫は強くなるためのトレーニングもしていません。ただ強い男です。天性の体格と握力、そして精神力が異常なために強い男です。花山薫は、強くあろうとはしますが、そのために自身を鍛えることを否定しています。

 「花の慶次」に「虎はなにゆえ強いと思う? もともと強いからよ」という言葉があります。弱い人間は修行をし、鍛えなければ強くなれませんが、強いものは最初からただ強くあることができます。花山薫もまた、そのような男です。

 

 昔、学校の後輩の恋愛相談を受けたときに、彼は「好きな子がいるけれど、その子に好かれるための行動をすることは違う気がする」と言っていました。好かれるために自分を変えることは、無理をしているということなので、そんなことをせず、自分がありのままでいることで好かれたいという話でした。

 それを聞いたとき、恋愛に対する態度が花山薫やん!っていう話になり、花山薫なら、花山薫が花山薫でいようとすることに、外部から言えることはないという結論になりました。

 

 このような話は、就活のときに自分の振る舞いや自己アピール内容を、就職に有利な感じに合わせにいくかどうか?というときにも再び出てきました。企業研究をせず、リクルートスーツを買わず、面接のマナーを学んだり想定問答の練習をしない、ありのままの姿で企業に就職したい!これもまた花山薫です。

 そう考えると、意外と世の中には花山薫がいます。何かの目的があったとしても、それに近づくために何かをするということは弱い人間がやることであって、それをせずに手に入れてこその強さだという話です。

 

 という話を、先日友達としていたのですが、なぜその話を今蒸し返すことになったかというと、僕が漫画を描くということに対して花山薫のような態度をとっているという指摘を受けたからでした(気に食わねえという文脈で)。

 

 つまり、僕は30ページ以上あるストーリー漫画の同人誌を初めて完成させられたのが34歳のときで、さすがに年齢が年齢なので、プロになりたいという気持ちもなく趣味でコミティアに出ていたのですが、そこで漫画を描くのが楽しくなってしまったので何度もコミティアに出ていると、あるとき、ヤンマガの編集さんから声をかけられ、この同人誌をそのままでいいからちばてつや賞に出してみませんか?と言われたので、原稿のファイルを送ったらヤング部門の佳作を受賞させてもらったという話です。

 そしてそれによって、漫画家という選択肢が人生に突如として出てきたものの、連載用のネームを上手く作れず、本業の仕事の忙しさにかまけて過ごしていたら、今度はコミックビームの編集さんに、読切漫画を描いてみませんか?と提案されたので、はい!描きます!と答えて描いたものが、来月の7月12日発売のコミックビームに載ることになりました。

 紙の雑誌に載るのは初めてなので、漫画家としての正式なデビューと言っていいように思います。おめでたいですね。まさか自分が39歳にしてこんなことになるとは、思いもしませんでした。

 

 

 でも、積極的にそうなろうとしてはなにひとつ動いたことがなく、なんとなく漫画を描くことが楽しくなっていたら、たまたまかけてもらった声に反応していたらこうなることになりました。そのような顔をしていたら「お前は花山薫気取りか?」と友達に言われたので、オッ、なんか恥ずかしいところをついてくるね!と思っちゃったんですよね。

 でもまあ考えてみてもくださいよ。フルタイムでごりごり労働している中年が、趣味でちらっと漫画を描くようになっただけのことが、そんなに多くを望んでもしんどいじゃないですか。もしかしたらプロの漫画家になれるかも!なんて思って欲を強く出してたら、生活を持ち崩してしまうかもしれないなと思って、怖いので、あんまり積極的には考えられなくないですか??

 

 なのですが、花山薫でもない人間が花山薫のような顔をするのは良くないなという気持ちもあります。なので、ロールモデルとして考えるなら、花山薫の対義語だなと思って、僕が思うに花山薫の対義語はアベンガネです。

 アベンガネは、ハンターハンターのグリードアイランド編に出てくる男で、作中の念能力を解除することができる除念師です。そして、彼はボマーという男に念能力の爆弾をつけられてしまいます。アベンガネは、その能力の解除条件を満たすために、主人公のゴンたちに情報を伝えたりしました。しかし、ゴンたちに期待をしていたというわけではありません。でも、ほんの少しでも念能力の解除の可能性が上がるなら、それをやった方がいいと考える男なんですよね。

 

 つまり、目的があっても、そこに近くために何かをすることを女々しいと捉える花山薫と、そこに少しでも近づける可能性があるなら、何でも一応やっとこうと考えるアベンガネです。

 

 僕は今やっと漫画家になろうかなという気持ちが盛り上がってきていて、今やっていることがまだ何かしらモノになるかが分からないので書くことはできないのですが、アベンガネしちゃおうかなと思って動いています。

 フルタイムで会社員の労働をしながら、プロの漫画家として活動することって、そんなに簡単なことじゃないと思うんですけど、もし、それができる可能性があるなら、少しでも何かをやっておこうかなと思って色々アベンガネしているので、もし進捗があったら、このブログを読んでいる皆さんにもお知らせしようと思います。

 

 ただ、今後何も書かなかったらボマーに爆死させられたとでも理解してください。R.I.P。

 

 そういえば賞を頂いた漫画も貼っておくのでよかったら読んでください(これがアベンガネ行為です)。

comic-days.com

 

 あとコミティアで出した漫画もこの辺はネットにアップロードしてるので、良かったら読んでください。おもしろいと思います。

manga-no.com

 

manga-no.com