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「KING OF PRISM -Dramatic Prism.1-」を観に行こう

 この文章は、まだKING OF PRISMシリーズを観たことがない人に観てもらいたいという気持ちから書かれています。

 

 現在映画館で公開中のKING OF PRISM -Dramatic Prism.1-という映画があり、これをより多くの人に観てほしいと僕は考えています。なぜならば、興行収入が良ければさらに新作が作られるかもしれないからです。個人的な欲です。

 

 KING OF PRISMは、プリティーリズムレインボーライブのスピンオフです。プリティーリズムには、プリズムショーというフィギュアスケートとアイドルのライブを合体させたショーが存在し、そこではジャンプをきっかけに様々な固有の現象が発生したりします。

 

 レインボーライブは主に女の子たちを巡る物語でしたが、KING OF PRISMはキングの名の通り、男の子たちを巡る物語です。レインボーライブの最後で男の子たちがアイドルグループを結成し、そこに新しく登場した主人公、一条シンくんを迎えて、お話は展開していきます。

 

 KING OF PRISMは映画館で客席から観客がスクリーンの中の登場人物たちを応援する応援上映が有名になりましたが、それ以前に、単体でとても面白い映画です。何が面白いかというと、演出面でブレーキを踏まない態度が素晴らしく、新作を観る前には、今度はどんなとんでもないものを見せてくれるのか??という期待でワクワクしてしまいます。

 

 ちなみに僕が一番衝撃を受けたのは、劇場版2作目の「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」なのですが、本作は大きな挫折を経験した速水ヒロが、完全無欠なプリズムショーを行い、自分に好意的な者、敵意を向ける者、万人をひれ伏させ、女神の寵愛を受けて完全無欠の王として戴冠するという物語です。これは本当にその通りの話なので正しい解説です。

 この完全無欠なプリズムショーの演出が本当にすごいんです。圧倒的な無敵感という表現をここまでやるかという演出と、その積み重ねによって自分の許容範囲を超えて感情が噴き出してしまい、笑いだしてしまいました。この人間は王になるべくして王となったと信じさせてくれる圧倒的な陽のエネルギーがそこにあり、観終わったあと自分も何かをしなくてはならないというようなそわそわした気持ちになりました。

 マジで元気になりますし、応援上映によってその気持ちを表現したくなるのも分かります。

 

 さて、現在公開中のDramatic Prism.1はShiny Seven Stars(以下SSS)というシリーズの総集編的な映画です。物語的な先が描かれるわけではありませんが、映像もブラッシュアップされており、いくつかの新規3Dライブ化されたショーも追加されています。ただ、基本的には観たことがある内容です。じゃあそんな総集編が面白いのか?と聞かれると、なんかめちゃくちゃ面白かったんですよね。

 

 ちなみに、総集編映画が作られるのは2回目でもあり、ライブを集めたベストテン形式の総集編も既にありました。今回の映画が異なるのは、SSSで行われたPrism.1という大会がテレビ放映されていたという観点から、そのテレビ番組での中継を見るという形式で再構成されています。なので、それぞれのショーの裏側にあったプリズムスタァたちの葛藤や昇華はテレビに映った部分しか確認することができません。

 つまり、ブラッシュアップされたプリズムショーの部分を主人公側とライバル側で交互に流し、間にCMや解説を重ねることで一つの生中継番組を作っています。途中でトラブルで何度かの中断もありますが、視聴者にはその理由は分かりません。そこは放送されないからです。何かが起こったんだということだけが分かりますが、生放送にはトラブルがつきものです。結果として、ショーが高密度で繰り広げられるとても満足感の高い番組を一本観ることができます。

 

 この映画一本では色んな謎が残るのですが、あらためて元になったSSSの物語ってすごくいいんですよね。舞台の上に立つ人と、それを観る人たちの関係性に踏み込み、なぜ我々は舞台の上の人たちを観るのか?これがアニメであるがゆえに登場人物たちの言葉は、登場人物の内心において演技でなく本気の真剣で、こちらに語りかけてくれます。それによってこの人たちをずっと追いかけていきたい、追いかけているときの自分でいたいという気持ちになってきます。

 

 SSSを既に視聴済みの人からすれば何が起こったかは既に分かっているのですが、Dramatic Prism.1を最初観る映画にしてみるのでもいいのではないかと思います。その場合、過去作のSSSはこの番組の裏側で起こったことを追ったドキュメンタリーとして作用します。ステージ上で渾身のショーを見せてくれたプリズムスタァたちが、どんな背景で、気持ちでどんな気持ちで舞台に立っていたのかを、後から確認するように観ることができるようになります。

 これはもしかすると映画の「カメラを止めるな」のような体験かもしれません。カメラを止めるなは、前半に見せられる生放送ドラマ番組に、様々な違和感を感じつつも、後半でその裏側で何が起こっていたのかを観ることができる映画です。奇妙に思えたものも実はこういう理由があったと謎が解かれていく過程が面白く感じました。

 

 もしまだKING OF PRISMを観たことがない人がこれを読んでいたら、まずは今劇場で見れるDramatic Prism.1を観てみませんか?様々な謎が残るかもしれませんが、それはSSSを観ることで氷解する、唯一無二の体験になるかもしれません。

 

 CMに何度も登場する3人組のプリズムスタァ、オーバーザレインボーも、初見ではこの人たちが何なのかは分からないかもしれませんが、彼らにも色々あったということが「プリティーリズムレインボーライブ」「KING OF PRISM by PrettyRhythm」「KING OF PRISM PRIDE the HERO」を観れば分かってきます。順番に観てもいいですし、彼らに興味を持ってからさかのぼってもいいです。CMの歌を歌っている法月仁ってどんな人?と思ってさかのぼってもいいでしょう。

 

 とにかく今やっているこのタイミングで、まだ観たことがない人に観てほしいんですよね。それは僕の欲の話であって、映画が終わったあとに流れた謎の予告の内容を、本当に観たいわけです。プリズムスタァのセプテントリオンの7人の新しい物語を、彼らの新しいプリズムショーを観たいんですよね。

 そのためには、内輪の人間で盛り上がっているだけではなく、新しい人にどんどん入って来てほしくて、なので、一回観てみませんか??という未見の人に向かう欲望があり、今その話をしています。

 

 僕は映画を観てめちゃくちゃ面白いと感じました。みんなも一度観てみよう。