漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

連載ペースやページ数で漫画のお話の作り方が変わる関連

 ヤングキングで連載中の「ひとでなしのエチカ」の新エピソード「アポロジー」が始まりました。これまでのひとでなしのエチカは、過去の同人誌の手直しだったため、久しぶりにこのシリーズの続きを描く形になり、何を描こうかなと思ってワクワクしています。お話は例によってテーマ以外は描きながら決まるので、どんな話になるのか自分でもまだ分かりません。

 

 

 月刊誌のコミックビームでゴクシンカを1年半近く連載した経験から、会社の仕事をしながらでも月24ページならそこそこ安定的に描けることが分かったので、隔週誌のヤングキングでは1話16ページを3回載せて1回休むペースで描くことにし、月平均は24ページになるのでまあ大丈夫かなと思います。

 

 ただ、平均的な月産枚数は変わらないので同じかと思いきや、月24ページと隔週16ページはかなりお話の作り方が違うという実感が既にあります。

 

 月刊誌の連載の場合、次に読めるのが1ヶ月後なので、最後が次回への引きで終わったとしても、基本的には1話単体で何かしら決着のつく読切的な側面が必要という認識でした。つまり起承転結が一通り入っている必要があるという認識です。それは、読者が一ヶ月待たされることへの危惧や、一ヶ月前のことを覚えてくれているか?という疑問があるからです。

 一方で、隔週誌では、ページ数が少なく次に読めるのも2週間後なので、「承転」だけが入っているものでも成立します(週刊誌ならより一層そうだと思います)。それによってお話の作り方のリズムがかなり変わりました。

 

 このことについて考えてみると連載の頻度による漫画の作り方の違いというのはある気がしていて、例えばウルトラジャンプに連載が移行してからの「ジョジョの奇妙な冒険」について、お話はすごく面白い一方でもどかしい気持ちがあることに思い至って、それはたぶん週刊誌のペースのような話があったりするからかなと思います。一週間後には次を読みたいのに一ヶ月待たなければならない場合、早く次が読みたいのに読めないのでめちゃくちゃもどかしい気持ちになります。

 現在は連載でなく単行本で読む人の割合も多いので、単行本なら気にならないかもしれませんが。

 

 一方で、月刊少年マガジンで連載されていた「BECK」などでは月刊誌ならではという演出があったなと思うところがあり、つまり、月刊誌でページ数の多い連載をすると、演出に潤沢にページを割くことができます。ライブの演奏シーンを見開きを使いながら贅沢に描けるのは月刊誌ならではだと感じていて、これが週刊誌なら、前後から切り離されたそれだけで一話が終わってしまい、読んでいる方が物足りなく感じるかもしれません。

 月マガで言えば、この前の「仮面ライダーSPIRITS」でも、たくさんのライダーの変身を見開きを贅沢に使いながら描いててめちゃくちゃ良かったですね。

 

 逆の話だと、「グラップラー刃牙」のトーナメント開始時の選手入場回は通常週刊誌に載るページ数の倍以上のページが一挙に掲載されたそうです。入場シーンを何回にも渡って描くのでは、読者のテンションが持たないと思うので正しい方法だなと思うと同時に、人間が通常週刊で描けるペースを超える仕事に恐ろしくもなってしまいます。

 

 他には、例えばドラゴンボールは、1話のページ数が他の連載よりも少し少なかったと思いますが、それでも1話1話の読みごたえが強くあり、そこには短いページで物語を描くための様々な工夫も感じ取れます。

 

 連載のペースや1話のページ数というのはお話作りに深く影響があったりすると思うので、そういう目線から漫画を読んでみても面白いかもしれませんね。