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「メタモルフォーゼの縁側」の実写映画を観ました関連

 しばらく前の話ですが、「メタモルフォーゼの縁側」の実写映画を観ました。めっちゃ良かったです。

 

 原作未読者には、この物語に初めて触れるものとしてオススメだと思いますし、原作既読者にも、原作の内容を実写映像でより生々しく見るられるものとして見て損はないと思います。

 本作は、書店でバイトをする地味なオタク女子高生のうららちゃんと、たまたま手に取ったBL漫画にハマってしまうおばあちゃんの市野井さんの交流を描く物語です。映画化にあたって、一部物語の構成を組み替えたり、オリジナルの展開もありますが、基本的には原作に存在している感情を再現しようとした丁寧な作りで、クライマックスとして出てくる台詞で、僕は原作と同じく、この映画の中で積み上げられてきた様々な出来事を一気に解放してくれて、感情が溢れる感じになったので、すごく良かったなと思いました。

 

 この物語は出会いを描いていて、出会いというのは、それによって出会った2人が変わっていくということだと思います。それが描かれていました。タイトルの通りですね。

 僕自身が6年ぐらい前に意を決してコミティアで初めての同人誌を出したこともあって、出会いがなければ漫画を描こうとしなかったうららちゃんに対する先輩面をしては、おい!上手くいかなくてもこれからも同人誌を作るのもいいと思うぞ!と思ったりしていました(物語と現実を混同するのがとくい)。

 

 実写化されたことでよかったのは、より具体性のあるものとして描かれたことではないかと思います。漫画の持っていたおもしろさは可能な限りそのままに、二人のハマるBL漫画が、より実物として存在するものとして描かれたこと、本屋の存在や、紙とペンで漫画を描くという泥臭いことを実物として見れたこと、町の印刷屋の様子、初めて作った自分の本、それまで漫画を読んで自分の頭の中で埋めていた実物との間の距離を、映画が具体的に埋めてくれました。

 

 中でもすごかったのは、うららちゃんを演じた芦田愛菜さんの演技です。立ち姿や、対人関係の反応、ものごし、表情、どれも物静かなオタクのそれで、自分や身近な人たちの特徴がそこにあり、オタクの挙動というものは、こうやって演じられるほどに、分析されているものなのか…と思いました。

 

「この漫画のおかげで私たち友達になったんです」

 

 その言葉が出たときに、これまでの時間が圧縮されて思い出されれば、それが強い感情として認識できれば、実写化にあたってのいくつかの変更点があったとしても、それは完璧な感情の再現だと思っていて、この映画はそうだったなと思いました。

 

 すごい良かったのでオススメです。