漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

FF16面白かった関連

 色々忙しいと言いつつもちょっと前にFF16をクリアしました。

 

 ファイナルファンタジーのシリーズは、かっこいいゲームの作り方をしていて、新作が出るたびに新しい試みがあり、「ファイナルファンタジーと言えばこうだよね?」という部分が占める領域は少なく、「今回はこれがファイナルファンタジーなのか…」という気持ちになります。

 

 システム面で言えば、FF12ガンビットシステムは色々な示唆があって良かったです。キャラクターの行動を、ルールの組み合わせによってカスタマイズできることで、自分が手動で操作するのと同じような行動パターンを再現することができ、ガンビットをカスタマイズする中で、そもそも自分が遊んでいるときにはこういう原理でやっているのかという自覚と、自分で操作することの意味について考えるという部分がありました。

 

 また、FF13はめちゃくちゃカッコいいゲームだなと思っていて、それまで遊んでいたRPGのどの部分が必要でどの部分が不要なのかをスッパリと割り切ることで、必要な核の部分だけ残し、それ以外を省略されていました。

 複雑なダンジョンを隅々まで探索したかったのか?街を探索して話を聞いて問題を解決したかったのか?武器防具やアイテムを買うときにはそれぞれのお店まで移動して買いたかったのか?等のそれまでのRPGの当たり前に対して、必要な部分を強調して残し、それ以外はバッサリ省略されていました。

 バトルシステム面では、戦闘の中でひとつひとつの行動を支持する意味はあるのか?リアルタイムで戦う複数の操作キャラを個別に指示して戦うのは非現実的である(FF12と同じ課題設定)のではないかというのが僕の理解なのですが、プレイヤーはオプティマ(あるいはパラダイムシフト)と呼ばれるシステムで情勢に応じた作戦を指示する指示することで戦闘を進めて行きます。物理攻撃と魔法攻撃の役割を明確に分け、その組み合わせと切り替えにダイナミックな意味を持たせることで、簡単な操作と派手な戦闘の両立を実現していました。

 しかし、この省略された部分にこそ、RPGが好きだというプレイヤーの気持ちが詰まっていたこともおそらくあり、FF13の在り方には当時批判的な意見も多くありました。それでもRPGとは何かを考え、新しいものを示したという部分に、ファイナルファンタジーファイナルファンタジーとなる所以があるように思いました。FF13は続編も出来ていて、それらもシステム面が独特でかなりおもしろかったです。

 

 FF15は僕がこれまでプレイしてきたゲームの中でもトップクラスに情動を刺激されるゲームでした。ゲームにおける物語り方は、「ナラティブ」と「ストーリー」という切り分け方がされることがあり、ざっくりとした僕の理解では、ナラティブはプレイヤーがゲームをプレイしたという自身の体験そのものに物語性があり、ストーリーは映画等のように自分はゲームの登場人物たちの行く末を見守るというメタは視点での物語体験のことだと思います。

 FF15はナラティブ重視になりがちなオープンワールドのゲームと、従来のRPGに多くあるリニアなストーリーという矛盾をゲームの構造の差と認識して、批評的に作られているゲームだと思いました。序盤はオープンワールドの世界でのモラトリアムを経験し、終盤はリニアなストーリーを逃れられない運命になぞらえることで、その二つを融合させるのではなく、違いを強調することで印象を際立たせていました。

 このゲームを面白くなく遊ぶ方法は、最速でクリアすることです。長いモラトリアムの時間を経験せずにエンディングを向明けた場合、最後の展開の意味をナラティブな体験として理解することが難しくなるからです。僕はまんまとダラダラと過ごしたモラトリアムの時間が圧縮されるように終盤のストーリーを体験したため、これまでの経験が頭の中に溢れてしまい、めちゃくちゃ泣きながら最後を遊ぶことになりました。

 

 さて、他にも色々あるのですが、長くなりすぎるのでFF16の話です。FF16は近さで言うとFF13に近いゲームだと思います。強い割り切りがあり、物量を必要な部分に投入し、必要でない部分は大胆に省略することによって成り立っているゲームです。なので、例えばFF15であったような体験を期待すると肩透かしを食うかもしれず、ナラティブなプレイヤーへの感情の働きかけではなく、リニアなストーリーを体験させるという部分に主眼が置かれていると今時点では感じています。

 

 FF16に感じた新しさはバトルの楽しさです。

 

 バトルはずっと楽しく遊べました。夢中になれる楽しさがあります。
 僕が思う夢中になれる楽しさというのは、「ちょうどいい課題と、課題を解決するための適切な選択肢があり、その課題と解決のサイクルがリズムよく存在する」というものだと思います。

 FF16のバトルは、通常攻撃と召喚獣による特殊攻撃、敵のウィルを削るとテイクダウンさせて行動不能に持ち込むことができ、そこに火力集中で一気に敵の体力を削れるなどの、オーソドックスなものをきっちり作り込んでいて、ひとつの戦闘の中に様々な状況変化を盛り込むことで様々な考えを巡らせながらの戦いが繰り広げられます。

 敵と自分の位置取りに対しても至れり尽くせりで、敵の攻撃を避けるために離れたときにも、フェニックスシフトを使って一気に近づいたり、小型の敵ならばガルーダエンブレイスで近くに引き寄せたりすることで、直接攻撃を当てるために、敵と自分の距離感を詰めるだけの退屈な時間が短縮されていたりします。バーサーカーリングをつければ、敵の攻撃をジャスト回避したボーナスで強力な攻撃ができたり、パリィで時間が遅くなるボーナスがあったりと、細かなご褒美がたくさん用意されているのも嬉しいです。

 戦闘を行う中でずっと適度に忙しく、瞬間瞬間の判断を求められ色んなものを切り替えて対応していくのが夢中になれるところだなと思っていて、戦闘ひとつの中でも適度な報酬が存在し、それを追っていけば戦いの最後まで退屈せずに済みます。

 

 僕はアクションゲームがそんなに得意ではないので、難しすぎないのも良かったです。僕よりもさらにアクションゲームが苦手な人にはそれをサポートするアクセサリも沢山あり、ユーザの特性に合わせた遊び方もできます。

 

 反面、省かれているものも多くあります。アクションにフォーカスしているため、主人公ひとりに装備やスキルのカスタマイズのフォーカスがあたっており、仲間との関係性が希薄に感じます。武器や防具もそのときの新しいものに買い替えることが基本であり、あまり選択肢がありません。サブクエストをやっていればお金に困ることも少なく、装備のカスタマイズの楽しみは希薄です。スキルの成長もそのとき使っている召喚獣を成長させることに特化しており、召喚獣のカスタマイズ性はありますが、悩む要素はあまりありません。

 

 そう、あまり悩まないゲームなんですよね。それはストレスが省かれていて遊びやすいと同時に、あまりその部分が心に残らないということと表裏一体です。クエストの目的地がほぼほぼ明示されているお使いなのも同じです。迷うことがなくサクサク進められますが、言われた通りに動かしているだけという印象にはなります。

 でも、難しいのは、ゲームをする上で悩みたかったのか?というとそうでもなくて、その手のゲームで詰まると結局ネットで調べてしまったりするので、じゃあ最初から明示されていたとしても同じじゃないかという気もします。

 

 遊びやすくクリアまでのどこかで詰まって遊ぶのをやめるということは回避されている代わりに、引っかかりも少ないという感じだなと思いました。

 

 ストーリーに関してはネタバレ回避のために詳細は書きませんがよかったです。作っている人たちはこれまでのFFに対する思い入れがたくさんあるんだなと思わせるような、今までのFFにあった要素を多分に取り込んだ物語であるように思いました。どれが近いと感じたかと言うとFF4です。あとはFFタクティクスの要素もふんだんにあったように思いました。

 ラストはプレイヤーの解釈に任せるような演出もあったのですが、FFタクティクスのオマージュがあると考えれば、自分の中での解釈はそれに準じる形になりました。他の皆さんがどう思ったかはわかりませんが。

 

 FF16がどういうゲームと感じたかと言うと、開発の計画の途中で迷走することなく完成させられた優等生風なゲームのように思いました。そのために、不確定要素が排除され、何をやって何をやらないかが早い段階で厳選されたのではないかと感じました。やると決められた要素については丁寧に磨かれ組み合わせられていて、とてもよくできていると思いました。そして、やらないとなっただろう部分についてはバッサリと存在していません。その割り切りはFF13っぽいとも思いました。

 遊んでよかったですし、オススメできるゲームだと思いました。ただし、本作だけの新しいゲーム体験はあまり感じられなかったなと思いました。僕がFF15が大好きなのは、どれだけ歪なところがあっても、ゲームでこんな気持ちになったことがないという一点の新しい体験の印象が強かったので、そういう部分がもうひとつあればより心に残ったかもなと思いました。