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漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

電子書籍のためのモバイルデータ通信の単価について

電子雑誌が便利という話

 最近はアフタヌーンとかが電子版で買えるので、本屋に行く時間がなかなかとれないときでもボタンひとつで買えるので軟禁されているときとかにも買えて大変便利このうえないなあと思います。あと、僕はもともと漫画雑誌を月に数十冊以上買っては捨てている生活(タバコ吸ってるひとのタバコ銭ぐらいの感覚)なのですが、auのブックパスというサービスの読み放題プラン(600円ぐらい)に入ったことで、「FEEL YOUNG」「コミックゼノン」「近代漫画」あたりが無料でダウンロードできるようになり、買うことを考えたら安上がりで、どこでもダウンロードできて便利で、捨てなくていいので楽だなあと思っていますし、この先もっと多くの漫画雑誌がダウンロードで、できれば読み放題プランに入ってくれると非常にグッドだなあと思っています。

 

今の電子雑誌の問題点

 ただし、ひとつの問題があるのです。状況によって適用されたりされなかったりするものの、スマートフォンの通信には3日で1GBで制限がかかるというルールがあり、150MBとか250MBとかある雑誌をガンガンダウンロードしているとすぐに上限に達してしまうのです。さらに月に7GBの制限なんてものもあります。そこのところは今のところ通信容量無制限のWiMAXルータを持ち歩くことで、解決している感じなのですが、スマートフォンだけでできる方が便利感が高いよなあと思ってしまいます。おそらく容量制限は時間の流れで段々と緩和されていくのだと思いますが、現時点で不便であることはこの上ないなあと思っています。

 さて、最近docomoSoftBankauの新料金プランが発表されました。三社とも微妙な差異があるものの、今後の方針としては通話はかけ放題で定額料金2700円、データは1GBあたり1000円ぐらいを相場として、容量を使い切ると追加容量を買うか通信制限が入るという感じだと思います。それを考えると、150MBのアフタヌーンをダウンロードするには150円ぐらいの料金がかかるという感じになります。でも、紙と電子で値段は変わらないので、Wi-Fiではなくモバイルでダウンロードするには割高感が出てきてしまいますね。

 

なぜ通信制限があるのか?

 ではそもそも、なぜ、モバイル通信には容量制限があるのかというと、それはある程度は仕方のない話と思っていて、電波は限りある資源だからです。ある空間にいる人たちが同じ周波数帯で同時に通信しようとすると干渉してしまいます。なので、いつ通信したくなるか分からない人たちが密集する場所において、それぞれの通信が干渉しないように上手いことスケジュールを組んでやる必要があるので、モバイル通信の仕組みと言うのはそれを上手いことやってやる感じになっています。

 余談ですがWi-Fiはそこのところが基本の仕組みとしてもうちょっと雑になっています。それはCSMA/CA(詳細はググるとよい)という仕組みで、これを雑に説明すると、とりあえず送ってみて、もし干渉してしまったら、当然通信先からの返事が返ってこないので、ランダム時間待ってもう一度送ってみて、さらに返事が返って来ないと、今度はより長い時間をベースとしたランダム時間を待ってという繰り返しになります。なので、同じWi-Fiアクセスポイントに接続する人数が多ければ多いほど原理的にどんどん速度が遅くなっていきます。54Mbpsの速度が出る規格の場合、理想的にスケジューリングすれば2つの端末で27Mbpsずつの速度が出るはずですが、現実的にはそうはなりません。なぜなら前述のように理想的にスケジューリングされないからです。なので、一定数以上の多人数が常時接続するWi-Fiは基本的に使い物にならなくなってしまうので、非常にバッドな感じですね(そうならないような仕組みも色々ありますが)。

 有線の通信であれば、線を一本専有できるために、線の本数を増やせば理屈の上では無限に通信容量を増やせます。しかしながら、無線は同じ空間にいる人たちが共用しているためにそうはいきません。ある周波数帯に乗せることができる情報量を増やすこともできますが、それをどんどん細かくしていくとノイズの影響が強くなってきます。となるとノイズによるエラーが出ても大丈夫なように検出や訂正のための仕組みが必要になり、となると送らなければいけない容量も増えてしまいます。その綱引きがある結果、少なくとも現行技術ではある周波数帯に乗せられる情報量には限界があります。つまり、無線技術ではある空間において提供できる容量に限界があるのです。

 ちなみに、この通信容量を大きくするための方針は大きく3つあります。ひとつは利用する周波数帯を単純に広げることです。沢山の電波帯域を携帯の通信に使ってよくなれば、容量を広げることができるようになります。課題としては電波は干渉対策のために国による認可が必要ですし、端末側でもアンテナの対応が必要ですから、対応には時間がかかります。もうひとつは無線出力を下げ、基地局数を増やし、ひとつの基地局がカバーするエリアを小さくすれば(小セル化と言います)、ひとつの基地局に繋ぐ人数を減らすことができるため、干渉が起こる頻度を下げることができるようになります。Wi-Fiスポットを使うというのも発想としては同じです。より少ない人数が接続するアクセスポイントを見つけることができれば大容量の通信をしても大丈夫ということです。最後は電波の使い方を変えることなのですが、現行のLTEという技術が第4世代を先取りした3.9世代(と言いながらなしくずしに4Gと呼んでいいことになっていますが)、現在導入が見込まれているのがLTE-Advancedが第4世代、そして、研究段階では第5世代も行われています。ちなみに、友人がその研究をしているものの僕の知能ではさっぱり詳細が理解できません。

 上の説明で雰囲気だけでも掴んでもらえばいいですが、色々対策は打たれているものの、基本的には電波は限りある資源であるために大量に使う人が出てくれば、他のユーザが思ったように使えなくなってしまう可能性が高くなるのです。ということで、公平性のためにも制限を入れる仕組みが必要であり、それが利用量による速度制限と、追加費用を求めることとして表出化している感じです。

 なので、長い目で見て便利にはなるのでしょうが、現時点ではWi-Fiを併用したり、よりお金を払うことで利用権を得たりするしかないのでしょうというのが結論です。なので、僕は仕方なくWiMAXのルータを持ち歩くという選択をしているのでした。

 WiMAXがなぜ通信容量無制限を提供できているかをいう話もありますが説明がめんどくさいので割愛します。

 

モバイルデータ通信の価格感

 3Gの時代には通信容量が使い放題なのがあたりまえであったのに、段階的な従量制に回帰していまい、なんだか高くなってしまったような気がします。ただし、そもそも論からすると、なぜ電気も水もガスも従量なのに、通信だけは定額が当たり前の世の中なのでしょうか?という疑問もあります。僕の中の理屈では、それは通信がその他のインフラサービスとは異なる特性があるからだと思います。それはサービスによって必要とされるリソースが指数的に上昇するということです。

 電気の場合、パソコンと冷蔵庫では消費する電力量はそれなりに異なりますが、ある程度の範囲に収まります。一方、通信の場合は劇的に変わってしまいます。文字ベースのコミュニケーションであれば、ISDNの64kbpsでも秒間数千文字送れるので全然問題ありませんが、ある程度見られる動画などになると1 Mbpsとかが必要であったりしますし、クオリティを求めれば20Mbpsぐらい、非圧縮で送れば100Mbpsぐらいも平気で要求されます。では、チャットとテレビ電話で、料金が容量と比例して数千倍異なるとした場合、誰もテレビ電話なんて使わないことになります(実際あまり使われませんが)。容量と料金が比例関係にあるとした場合、文字ベースで使っていた人に合わせて設計すると、動画を使う人には天文学的な料金が請求されてしまいますし、動画を使う人に合わせて料金を設計すれば、文字ベースの人の料金はほぼゼロになるはずです。

 つまり、利用するサービスの種類によって必要とされる通信帯域が劇的に異なるために、単純なパケット量単位で課金を行うと、どうにもサービスの享受と支払う価格のバランスが悪くなってしまうのです。その場当たり的な対策として、ある程度以上使ってもそれ以上請求はしませんという形の定額が、モバイルサービスの普及を促すことになっていたというのがこれまでの経緯だと思います。

 一方、設備投資の観点から言えば、多く使っている人の多く使う部分をサポートするにはそれに応じたお金がかかります。定額制が普及したことによって大容量を使われても収入は増えないにもかかわらず、相変わらずの設備投資だけは必要となってしまうために、提供側の心象としては多く使っている人間には多くのお金を払ってもらうのが当然だろうという意識もあるかもしれません。

 通信料が定額制の世界においては、あまり使わない人の払ったお金が原資となり、沢山使う人のための設備を支えているわけですから、そういった観点からすれば不公平だなあとは長年思っていたので、そういう意味で言うと、容量に応じて追加料金を要求されることがより当たり前に近づいた最近の通信事業者たちの料金設定変更は、その種の正義を持っているなあと思いました。

 

今回思ったこと

 という感じに考え始めると、データの料金が上がってしまうこと自体には妥当性を見出してしまったわけですが、心象としてはそうではないんです。いつでもどこでもアフタヌーンをダウンロードするのに、150円かかってしまうのが便利ではないので、気には食わないんですよ。僕がさほど気にせずに済んでいるのはWiMAX様のおかげでしかないですし、WiMAXも次世代のWiMAX2+からは通信制限が入る上に、現行の無制限WiMAXに割り当てられた周波数帯は徐々にWiMAX2+用に転用されていきますし、数年後にはサービス終了してしまうわけなのです。その頃に、どれほどの容量を通信してよいことになっているかということが、僕は大変気になるわけなのでした。

 漫画雑誌をそれなりのクオリティで提供しようと思えば、これ以上の電子書籍のデータ容量を下げることは不可能だと思います。一方、小説であればもはや無料に近い感覚でダウンロードすることもできるでしょうが。これらを単純に提供することを考えるとサーバやサーバを繋ぐ回線の維持費用もそれなりにかかってしまうために、全ての漫画や漫画雑誌が単純に電子配信に移行するにはまだ少し時期尚早であるのかもしれません。

 一方、アプリのマンガボックスなんかでは、読み始める前にまず何百MBをダウンロードするというような形式ではなく、連載の漫画を開いた時点で読み込み始めるというような、よりクラウド的な利用方法であるために、現行の雑誌配信よりは通信帯域の使い方が効率的ですし、Wi-Fi接続時に自動ダウンロードしておくというような設定もありますから、どちらかというとこちらの延長線上に将来の漫画雑誌電子配信の方向性はあるといいのかもしれません。なぜなら、買った後ダウンロードを待つ時間がかなり面倒だからです。

 

 結論としては、まだ色々とバランスが悪いので、将来的に色んな環境がより整うのを待つしかないというアレな感じであり、何か良いことが書いてあると思って、ここまで読んだ人は残念でした。ごめんなさい。