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「妹は知っている」を読んでいると癒される関連

 ヤンマガで連載中の「妹は知っている」がすごく好きで、毎回楽しみに読んでいます。「妹は知っている」は、感情を表に出さないサラリーマンの兄が主人公の漫画です。主人公は実は有名なハガキ職人でとても面白い人なのですが、会社でそれを知っている人はほとんどおらず、でも、妹は主人公が「面白い人であること」、そして「とても優しい人であること」をちゃんと知っている、という漫画です。ちなみに妹は美人でアイドルです。

 

 本作を読んでいるとすごく癒される気持ちになるのですが、その理由は、主要な登場人物の行動原理が、「自分以外の人が楽になったり喜んだりするようになることを目的にしている」という部分です。「自分が得をするために他人に接する」のではなく、「他人がが辛いと我がことのように辛く、他人が得をすることが我がことにように嬉しくてそれをする」というような感じなので、人間と人間の関係の中で、その善性を感じられてとてもいいなと思います。

 

 本作のいいところは、タイトルにもあるとおり「知っている」ので、その善性が「ある」ことにちゃんと気づかれているという部分です。他人に向けた押し付けがましくないさりげない気遣いや努力、サービス精神なんかは、主張されないものであるため、現実的には気づかれないことも多いものだと思うのですが、それがちゃんと気づかれていること、それによって人間関係の中で善性が循環しているように感じる部分がとてもいいんですよね。

 話が進むに従って、妹以外も主人公の面白さと優しさに気づいていきますし、主人公以外もお互いのことを思い合い、それがちゃんと伝わっているという部分に、楽園的な心地があります。それは現実の世の中ではそうでもないことが多いと感じていることの裏返しかもしれません。

 

 この心地よい空気感を描く上で、主人公がラジオにネタ投稿をするハガキ職人であるということが絶妙にマッチしていると思います。

 つまり、表面的にはそう見えなかったとしても、日常生活の中ではそれが不得手に見えても、人を笑わせようとしている人だということが分かるからです。自分以外の人を楽しませようという気持ちがあることが、示されていて、そういう人がいるということと、それを好ましく思って人が集まってくることに、いいなあと思っているような気がします。

 

 主人公の人を笑わせる原体験は、まだ赤ちゃんの頃の妹を笑わせたことなんですけど、あんまり他人と自分から積極的に関わることがなく、感情表現も不得手そうな人が、人を笑わせるということの喜びに目覚めることと、兄妹がそれで信頼関係を得ていることがいいなと思います。

 

 人を笑わせるのって、本当にいい気持ちになるんですよね。芸人にも、普段はあまり喋らない、人間関係に積極的でない人がいるという話も聞きますが、そういう人でも、笑いをやりたいと思うのは、人を笑わせたときの気持ちがとても良いということを、どこかのタイミングで知ってしまったからではないかと思うんですよね。

 

 僕は大阪に住んでいた時期のことが、自分の人生の中でとても良かった時期のひとつだと感じているのですが、その理由は、当時の友達が面白いことが好きな人が多くて、なおかつ、他の人を笑わせるということの喜びを知ってた人たちが多かったからかなと思います。

 場にいる皆が、他の人たちが楽しませられると嬉しいと感じている場所は居心地がよくて、ずっと居たかった場所でした。

 

 そういう場所は得難いものだということは、後々気づくことなのですが、だからこそ、そういう場所はいいし、そういう場を自分で作れるといいと思うんですよね。

 なので、妹は知っているを読むときも、そういう気持ちを改めて思うことができて、いいなと思っています。

 

 人を笑わせる面白いことを出来たら言っていきたいなと思います。