漫画皇国

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長い話を初めて作った関連

 今週発売のヤングキングで、「ひとでなしのエチカ」のアポロジー編が終わりました。このエピソードは16ページ×16話の256ページある長いエピソードです。「ひとでなしのエチカ」は元が同人誌で、50ページ前後ぐらいのエピソードをまとめたものでしたし、前作の「ゴクシンカ」は基本的に読み切り形式で作っていたため、話が続いていても数話分程度の長さだったので、過去イチ長いエピソードだなと思いましたし、描くのは面白かったです。

 

 この話は僕なりに描きたかったことがあったので、それは描き切ったなと思いましたが、読んだ人がどう思うかという話だと思うので、内容に関する解説はしません。伝わるだけのものは込めたし、上手く伝わらなかったら僕の技量が拙いという話です。

 

 ヤングキングは隔週誌なので、月に2回の締め切りがあり、僕は会社員もしていることから調整用の休みとして、3回載ったら1回休みというペースでやらせてもらっています。1話は16ページなので、16ページの塊でお話を作っていくことになります。

 

 本エピソードは、テーマ性が決まっていて、キャラが出来たので、まあお話を展開させていればテーマ性に折り合う形で辿り着くだろうという見切り発車で描き始めました。それでもなんとなくこういうことがあるんだろうなという出来事はいくつか考えていたものの、3話目ぐらいで全然予定になかった話を描いてしまったせいで、それらが一度全部ご破算になります。

 

 ちなみに最初は皆死ぬだろうと思って話を描き進めていましたが、結果的にはあんまり死ななかったですね。

 

 僕のお話の作り方は、より面白くなるだろうという思い付きで話を広げていって、そろそろ終わりに向かうときに、テーマ性に合わせて可能性を殺しながら閉じていく感じなのですが、今回も話は長いもののいつも通りそんな感じで、大体思った通りに終わったように思います。編集さんは「こんな話だとは想像していなかった」と言っていたので、「僕も途中まではそうです」と思いました。

 

 16ページ区切りの連載はとても描きやすく、ネームも丸1日や、長くても2日あればだいたいできるようになりました。月刊誌の漫画の作り方と、隔週誌や週刊誌の漫画の作り方の違いというものがあると思っていて、月刊誌は1つのお話の中である程度オチがついた方がいいですが(次の話を読むのに1ヶ月も待つ必要があるため)、隔週誌や週刊誌ならば、1つ展開を入れて、次の話への引きで終わることができるようになります。

 

 なので、ネームの作り方は基本的に「導入」と「転換点」と「引き」の3ポイントを押さえていればあとはその隙間を埋めるだけで1話できます。僕の場合は、漫画は基本2ページか4ページ単位でリズムを作っていきます。それはページをめくったときに何が見えてほしいかというリズムです。ページをめくったときにあるのは、期待した結果か、想像しなかった結果か、想像したものと少し違う結果の3パターンがあります。その3つに共通する要素はめくったあとに嬉しくなるということです。4ページ単位で作っていれば、その嬉しくなるポイントを4個作れば一話ができてしまいます。

 

 最初の4ページは導入で消費し、最後の4ページは引きで消費するために、考えるところは中間の8ページで、オーソドックスに作るなら転換点はその真ん中にあり、転換点の前の4ページと後の4ページを作れば16ページ埋まるという計算です。実際はそれが前後にいくらか動くことも多いですが、この感じで作るようにしてからネームを作る速度がかなり上がりました。

 

 当初は1話10日ぐらいかかっていたネームが早くなったので、かなり安定して連載ができるようになりました。積み重ねは自信に繋がっていくので、これからも会社員を続けながら連載も続けられそうだなと思います。

 安定して作れるようになったので、少しでもより面白い漫画を描きたいし、もっと本を売りたいなとも思っています。