漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

誰かが作ったビジネスの中でお金を貰う関連

 ある人の年収と能力って直接的には関係がないと思います。つまり、能力が高いからといって年収が高くなるとは限らず、年収を上げるために能力を高めるのは直接的に効果が出るものではないと思うということです。なので、いくら能力向上のための研鑽をしたところで、年収は増えないことも多いと思います。

 

 ではどういう要因で年収が決まると僕が認識しているかというと、それは「どういうビジネスの中で、どういうポジションを得ているか」です。いい感じに儲かっているビジネスの中でいい感じのポジションを得ていれば年収は高くなりますし、儲かっていないビジネスの中では、どれだけもがいても年収は上がらなかったりします。

 もちろん、そういったポジションを得るためには能力が関係することも多いと思います。しかしながら、例えば、能力によらず、経営者の血縁であるなどの理由でもポジションは得ることができ、その場合は、能力の研鑽とは関係のない領域で年収が高くなります。

 なので人の年収の比較は、その人の能力そのものの評価ではないと思います。でも、年収によって人の能力を値踏みするような見方も世の中にはありますよね。そもそも人の価値を年収で見るというところに意味を見出したくはありませんが。

 

 さて、人が社会の中でお金を得る手段について考えるとき、「就職」という考え方が主流を占めていると思います。これは「自分以外の誰かが考えて維持しているビジネス」の中に、何らかの部品としてのポジションを得るための儀式だと思います。

 なぜそういったことが主流なのかというと、ビジネス、つまり「お金を設ける仕組み」を作って維持するということが非常に困難なことであるからでしょう。自分でイチから作り上げることが困難なチャレンジであるからこそ、他人の作った立派なビジネスの仲間に入れてもらおうとするということです。

 きっとその方がリスクが少なく確実な道だと思われているのだと思います。一方で、そのビジネスの仲間に自分が入れてもらえるかもらえないか、という就職活動の中で苦しみを感じてしまうことも生じてでしょう。

 

 就職をしなくても、自分で起業をしたり、フリーランスで働くという道もあります。その方がリターンが大きいこともあると同時に、失敗するリスクも高くなりがちです。

 また、自分でビジネスを立ち上げたつもりでも、結局大きな意味では、起業した会社やフリーランスの労働が、別の会社のビジネスの中とどのような立場を得るかによって収入が決まってくることがありますし、完全に独立した全くゼロから作り上げたビジネスで食べていくということは、あまりないのかもしれません。

 

 漫画で言えば、出版社が作っている雑誌の中で連載し、単行本を出してお金を稼ぐというのが既に確立され、維持されているビジネスのひとつです。そこでの連載権を得ることは、就職の相似形とも捉えることができて、つまり、何らかの条件を突破した人間が、その仲間に入れて貰えるという認識になります。

 会社への就職と異なるのは、「雇用」という形態ではないため、雇用であれば意識せずとも守られるような部分が守られる保証がなく、各種契約によってそれに相当する部分を自ら守らなければならないという部分などがあると思います。

 他人が作ったビジネスの中でお金を儲けられるポジションを得ると言うことは、その体制を維持管理している側に対して、自分も入れてもらおうとする側は、基本的に分が悪くなりがちです。なぜなら維持している側は、別の人でもいいですが、入れて貰いたい側はそこでなければならなかったりするからです。

 

 それが良いとか悪いとかの話ではなくて、実際問題として、人がお金を儲けるときは、他人が作ったビジネスの中でポジションを獲得できるか?という話になることがとても多く、そこに入れてもらいたい側の人間の立場はいつも弱いなあと思っています。

 そういう意味では、会社に就職しようとする人も、出版社の仕事で漫画を描こうとすることも同じだろうなと思いました。

 

 漫画に関しては、それ以外の方法も生まれています。例えば、自費出版は電子でできることによってハードルが大きく下がっていますし、支持者からの直接的な支援を受けられるサービスも増えています。

 ただ、それにしたって、どこかの会社が作ったサービスの枠組みの中で行われていることだろう?という話はあります。そこにある違いは「向こうから選ばれるということの要素が少ないこと」ではないでしょうか?つまり、「誰かに値踏みをされることで向こうの仲間に入れてもらえるという話」と、「登録すれば誰でもやれる話」という差があり、後者ではグラデーションの中で、自分で作ったビジネスという要素の色は濃く出てくると思います。

 

 自分でやる漫画ビジネスは上手くしたら儲かりそうですが、他の誰かがそれを維持してくれようとすることはないので、自分がやる気をなくしたら活動が止まってしまったり、それを上手くするための方法がない状態から始めなければならないため、やったところで軌道に乗るところまで進めることができないかもしれません。

 

 これは結局自分がお金を稼ぐために、どこのビジネスのどのポジションにいたいと思うかという話で、それぞれ自分に合う場所を探すといい話なのかなと思っています。他人が作った枠組みの中で、そこに入れてもらえるか?という不安と戦いながらお金を稼ぐという手段にも、自分で作った枠組みで、なんとか道筋をつけてお金を稼いでいく手段にも、別に優劣も貴賎もなく、自分が何を選ぶかという話なのではないかと思っています。

 

 この1年は、会社員としての収入と、副業としての収入もそこそこあるなと税金関係の手続きをしながら、自分は誰かの作った枠組みの中でたまたまいくつかのポジションを得ているからお金が貰えているんだろうなと思い、なんか、そういうことを思いました。