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カイジのスピンオフと任天堂のゲームの類似関連

 近年、福本伸行カイジのスピンオフが面白く、中間管理録トネガワから始まりましたが、1日外出録ハンチョウや上京生活録イチジョウとそれぞれ別の魅力のある連載が続いています。

 

 最初のトネガワについては、正統派のよくあるスピンオフというか、本編の裏側をギャグとして描くという部分が大きく(パラレルワールドという認識です)が、ハンチョウやイチジョウは少し異なっていると思っていて、つまり、面白さの核の部分が別にスピンオフである必要のないものであったりする部分が面白いなと思っています。

 つまり、カイジから流用しているのは、キャラクターとフォーマットであって、ハンチョウは中年男性の生活、イチジョウは若者の生活における共感できる部分を中心に、カイジとは異なった種類の面白い話であるということです。

 

 おそらくその面白さを考えるに、実はカイジのスピンオフでなかったとしてもお話の中身は成立するのではないかと思います。しかし、福本伸行漫画のフォーマットをギャグ的に流用することと、既に立っているキャラクターの話とすることで、その内容をより広く届ける形となっているのが面白いなと思いました。

 

 ここで思い出したのが、以前読んだことのある任天堂のゲームに関するインタビューで、ゲームとしての遊びの核の部分が試験的に出来上がってから、既存のキャラクターのゲームとして仕上げられるケースの話です(他の会社でもおそらく同じことがあるのでしょうが、実情を読んだことがないので)。

 ゲームとしては新しいキャラクターものとしても成立するかもしれません。しかし、それが例えばマリオのゲームになるのであれば、「マリオのゲームである」ということによって、より注目度が上がると思います。

 マリオが登場するゲームには、アクションからレース、パズルや格闘、パーティーゲームスポーツゲームRPGも多種多様です。そこにはマリオを冠することができるという一定の品質保証とともに、新しい遊びを既に知っているキャラクターによって受け入れやすくするという力があるのではないかと思っています。

 

 つまり、こういったキャラクタービジネスとして成立しているのが、カイジのスピンオフの面白いところなのではないかと思うということです。そうなることで、あくまで本編の従属物でしかないオマケ的なものではなく、独立した別個の漫画として成立するものになっているのではないでしょうか?

 そうなることで、むしろ、カイジの方を読んでいなくてもハンチョウを好んで読む人なんかも出てくるはずです。そういうことができる個性があるという部分が福本伸行漫画の強いところだなあと思いました。

 

 そう考えると、アフタヌーンで連載されている「ああっ就活の女神さまっ」なども同じような狙いの作品のように思えます。

 漫画のキャラクタービジネスも、昔からよくあったギャグパロや、学園パロ、人気キャラクターの個別エピソードのようなものだけでなく、単体でも面白い漫画の認知度を上げるために、キャラクターブランドを用いて展開するタイプのスピンオフが、今後増えてくるのかもしれませんね。

 ただ、実際にそれで成功するのは難しいことかもしれませんが。