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メタルギアサヴァイブはいいゲームだった

 この前、「メタルギアサヴァイブ」をクリアしました。既に買うことを決めていた「北斗が如く」の発売までのつなぎで何かゲームをしようと思って買ったんですけど、買う前は「メタルギアソリッドV」で使われたゲームエンジンであるFOX ENGINEや各種素材を再利用して作られたゾンビゲームという2つの印象だけしか持っていませんでした。

 

 思ったよりも難しいゲームだったので(僕にとっては)、なかなかクリアまで行かず、結局北斗が如くが発売してからもそちらに移らずにしばらく遊んでいたのですが、クリアしたときに、いい思い出がたくさんできたなと思ったので、これはいいゲームだったと思います。

 

 最近、僕がゲームに求めているのは思い出という感じがしています。以前、探偵ナイトスクープかなんかのテレビ番組にゲームが大好きなおじいちゃんが出ていました。そのおじいちゃんがゲームの話をするとき、ゲームの中であった出来事について、あんなことがあった、こんなことがあったと嬉しそうに思い出として語るのがすごくよくて、僕もそういう感じに遊ぶようにできるといいなと常々思っています。そういう意味で、メタルギアサヴァイブは、いい思い出がたくさんできたのでいいゲームだと思ったんですよ。

 

 メタルギアサヴァイブは、その名の通りサバイバルのゲームです。ワームホールに吸い込まれてやってきた謎の土地で、なんとか生き延びながら元の世界に帰るために奮闘するゲームです。このゲームの緊張するところは、装備を選んだり、クラフトをしたり、拠点を開発したりと、ゲームを操作しているあらゆる時間の中で、腹が減り、喉が渇いていくということでしょう。常に落ち着きません。そしてそれはゲームを開始してすぐが一番落ち着きません。

 なぜなら、ゲームを開始してすぐは、安定して食料を調達する方法も、安全な飲み水を用意する方法もまだ持ち得ていないからです。

 拠点の近くで仕留めた羊の肉を加工した数少ない食料を頼りに、飲めば嘔吐を繰り返す汚れた水を飲みながら周辺地域を探索します。そのうち、まともに呼吸できない塵の中を探索する必要があり、そこでは酸素すらも絶えず減少するリソースです。あらゆるものが減っていく中で、目的のものに辿り着き、入手し、加工し、生き延びなければなりません。塵の中では最初は地図も役に立ちません。なので、遠くに見えるわずかな明かりなどを目印に歩き回るしかないのです。留まることはそのままの死を意味します。であれば、先の見えない状況でも待ち続けるわけにはいきません。進むしかありません。これは、明確に設計されたゲームの作りでしょう。生き延びるためには、進み続けなければならないのです。

 

 空腹とのどの渇き、それに伴って落ちる体力、武器も損耗し、道具は消耗し、探索の中で戦う力はどんどんなくなっていきます。方角も分からず、迷ってしまい、なんとかその塵の海を抜け出そうと無作為に歩き回る時間、塵の海の中を徘徊し、見つかれば襲ってくるゾンビのような存在たち。その中で生き延びるということ、それは大変辛い時間でした。でも、なぜか、終わってみるとその時間のことをよく思い出すわけです。あれはとても楽しかったと。

 

 このゲームは最近のゲームにしては不親切です。探索先で死んでしまえば、近隣からすぐにやり直せるわけではなく、旅立つ前の拠点まで戻されてしまいます。これが辛いわけですよ。同じミッションに何度も失敗したときには、またそこに辿り着き、資源を回収しつつ深く潜るまでの同じ行動を何度も繰り返さなくてはいけません。にもかかわらず、初めて探索する場所には未知の仕掛けがあり、うっかり死んでしまうこともしばしばです。

 僕はゲームが下手なので、このゲームの上手い進め方を習得できるまで、何度も何度も死んでしまったりしており、これがかなり辛かったんですけど、これも今思い返せば、あれが面白かったと思っていることに気づきます。

 また、実は救済策はちゃんとあり、その場で復活できる蘇生薬がログインボーナスなどでまれに手に入るので、それに気づいてからはかなり気持ちが楽になりました。

 

 あと資源が足りない系の問題はシングルプレイと並行して、マルチプレイの方にも行くことで報酬として手に入ったりします。

 

 水を浄化する設備や、安定して食料を供給できる設備は、ゲームをそこそこ進めなければ手に入りません。それまでは、ずっと食糧の不安に苛まれ、走り回るネズミを見つけては嬉々として捕まえて焼き、リスクのある水を飲んでしまってトシャトシャしながら、健康不良優良傭兵として元気に探索して、地図を埋め、設備を発見し、資源を集めて拠点を強化していきます。新しい武器レシピを発見し、レベルを上げてスキルを開放して、どんどん効率よくゾンビのような生物を倒していけるようになります。

 進めていけば仲間も見つかります。でも、増えた仲間と生きていくには、さらなる食料や水の確保、医療品の確保なども必要です。

 

 メタルギアサヴァイブの遊びはその繰り返しです。だんだんとできることが増え、ある問題が気にならなくなると新たな問題が発生し、段階的に悩みが変化していきます。新たな武器の入手やスキルの開放で自分のも強くなりますが、敵の種類もだんだん増え、新しい戦い方を考える必要があります。また、強い武器は修繕にレアな資源が必要だったりするので、その考慮も必要です。ゲームの中に仕込まれている全部の要素が開放され、悩みがなくなってくる頃には、ストーリーは終了になります(クリア後にはさらなる能力開放や、強く巨大な敵と戦えるミッションもあります)。

 

 このゲームに何か他のゲームにはない特別な特徴があったか?というと、正直「これだ!」とは結構言いにくいんですが、でも、遊んでいた時間を今思い出すと、面白かったなという思い出がたくさんあるんですよ。

 食料資源を確保して生き延び続けるというループと、少しずつ探索して活動範囲を広げるというループ、スキルやレシピで段々と出来ることが増えるというループに、それに対応した新たな課題が出てくるというループが重なり合って生まれるハーモニーが心地よく、浸っている時間が良かったなと思う感じです。

 色んな失敗をして、からがら生き延びたこともあれば、死んで台無しになったりもしました。何度もチャレンジして前に進み、それを繰り返してエンディングまで辿り着くわけですよ。そこからこれまで歩いた道のりを振り返ったとき、その時の気持ちこそが、ある種のゲームの良さだと思うわけですよ。ゲームは思い出です。

 

 ワームホールに飲み込まれて別の世界に来たというトンデモナイ始まり方の物語も、このトンデモなさと従来のメタルギアシリーズに整合をとる形での終結を見ます。メタルギアソリッドVで登場したマップも廃墟として登場し、あれやそれやも登場し、メタルギアソリッドVを遊んでいたときの思い出もそこに重畳されます。

 

 メインストーリー上の最後の戦いは、結局5回ぐらいチャレンジしてやっと勝つことができました。大量にやってくるゾンビ的な存在を、たったひとりで殲滅しなくてはなりません。

 一体一体の敵はそんなに強くありませんが、大量にやってくると脅威となります。それをワームホール技術で金網を転送して足止めし、停滞させ、ダッシュで後ろから回り込んで槍の回転斬りで一気に攻撃するのが僕は好きで、大量に迫りくる敵を走り回りながら分断し、個別撃破し、大きなうねりになることをさせないようにします。それでも一人では無理な量が来ます。大量の資源を投入して機関銃で掃討したり、グレネードで爆破したりを繰り返し、拠点を防衛するわけです。弾は枯渇し、使えるものは何でも使ってひたすら敵を倒し続けます。

 最後の戦いは時間表示もなく、自分がいつまで戦い続けなければいけないのかもわかりません。これまで蓄えてきた資源と能力を全て使い、ボーナス的に与えられた資源も総動員して、とにかく大量の敵を倒す。一人で倒す。一人で殲滅します。でも、それは孤独ではありません。これまで歩んできた道で様々な人たちの協力を得て、獲得してきた力です。

 

 それを全部総動員するような形で倒し切り、物語も終わりました。かつてビッグボスとともに戦った名も知れぬ一人の兵士が、あるかもしれず、なかったことになった物語を生き延びていくゲーム体験でした。されど、クリア後もゲームはまだ続きます。

 

 とりあえず一旦やめて今は次のゲームを遊んでいる状況ですが、マルチプレイも楽しいので、まだまだちょくちょくやっていこうと思っています。