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「The Wonderful 101」について

 Wii Uマリオカート8の発売を月末に控え、同ソフトの早期購入特典に他のゲームを2本ダウンロードして1ヶ月遊べるというものがあることを知り、対象ソフトの中に「The Wonderful 101」があったので、このゲームがいかに面白かったかという話を書きたいと思いました。

 

 このゲームは100人のヒーロー、The Wonderful 100(ザ・ワンダフル・ワンダブルオー)を同時に操って、宇宙からやってきたゲスジャークというやつらを倒すというアクションゲームです。

 

 僕が思ったこのゲームの面白さは以下の5点です。

 

(1)上達する喜び

 このゲームの特徴的な所は、ユナイトモーフという戦い方です。Wii Uゲームパッドに丸や線や直角や波線などなど様々な図形を描くことで、100人のヒーローが連結し、手や剣や銃や鞭の形になって敵を攻撃することができます。描く図形の大きさによって、それらの武器の大きさも変わり、大きな武器を1つ使うか、小さな武器を複数使うかという選択ができたり、それらを組み合わせたり切り替えたりしてコンボを決めることができます。これが大変気持ちいい。敵とのバトル自体が大変気持ち良いので延々プレイしていられるのですが、このトリップ感に至るまでには紆余曲折ありました。

 僕がアクションゲームが得意ではないというのもあるのですが、最初は全然思った通りにできなかったのです。敵と戦っているのはテレビの画面ですが、図形を描くのはゲームパッドです。なので一旦テレビの画面から目を離して手元を見て図形を描くのですが、その間も画面では戦闘が進行しているので、目を戻したときに状況把握に戸惑います。仕方なく、ゲームパッドを見ずに図形を描いてみると、変な場所を押してしまって、図形が描けないモードに変わっていたりして、ちっとも思ったようにできませんでした。そこで、だんだんとパッドだけではなく、右スティックで図形を描くようになるのですが、スティックは絵を描くのに向いたインターフェースとは言えず、これもまた思ったように図が描けない。その上手くいかないと戦いながら、ゲームを進めていくと、あるとき突然、描けるようになっていることに気づきます。繰り返す訓練が着実に僕の操作スキルを上げていて、それによってそれまで出来なかったことができるようになる。これは一見すると面倒くさいですし、むしろすぐに楽しめた方が良いとも思われますが、実際、上達してみると、達成感と充実感がすごくあるのです。

 それに、上手くプレイ出来ないからと言って先に進めないわけではないので、ゲームをプレイしていれば自然に上手くなるような作りになっているように感じました。ハンターハンターにおけるグリードアイランドのような物です。プレイ自体がチュートリアルとして有効に機能していると感じました。

 操作の習熟の他に、だんだんと敵のバリエーションが増えてきます。そこで敵の攻撃の方法によって、なんとなく、どの防御方法や回避方法を行うと有効かが見えてきます。それぞれのタイミングによって適切な方法を選択し、敵の攻撃をいなして、こちらの攻撃を当てるというのが頭で考えるのでなく身体が反応するようになります。そうなってくると、これは少々見た目の変わった音ゲーのような気持ちになってきます。適切なタイミングで適切な行動をとり続けるということを繰り返すことで、小気味の良い反応がずっと返って来る。目から入った情報を元に判断し行動をし続けることで、頭の中が退屈することなく、快感だけが延々と続くようになるわけです。

 またハンターハンターで喩えると、キメラアントの王に百式観音で対抗するネテロのような状況です。常に正着手を打ち続けることで、相手に反撃を許さず攻撃をし続けることができる。ネテロは狂気にまみれた十年でそれを成し得ましたが、僕は1週間かからず、そこに辿りつきました。「感謝するぜ!このゲームに出会えたこれまでの全てに!」。

 

(2)QTEの面白さ

 僕はQTEがあまり好きではないです。QTEというのは例えばムービーの最中に画面に「Aボタンを押せ!」みたいなのが出てきて、成功するとちゃんと進んで、失敗するとやりなおしやゲームオーバーになるそれなのですが。シェンムーQTEで散々失敗しまくった経験や、バイオハザード5でも失敗しまくり、オンラインCO-OPで知らない人と一緒にプレイしていたので、やり直している間、向こうの人は手持ち無沙汰でしょうから、大変申し訳ない気持ちを重ねたりで、嫌な思い出が沢山あるのです。

 でも、このゲームのQTEは違いました。楽しいのです。QTEの嫌なところに、ゲームの画面に突然表示されることから、いつ出て来るかに集中して、ムービーをちゃんと見ていられないという問題がありましたし、集中してもらうためか、表示されるボタンが毎回ランダムであったり、しかも失敗するとまた最初から見直しであったりして、失敗すると罰を与えられるぞ!と、おどおどびくびくしながら挑戦する感じだったのです。

 このゲームのQTEが異なるところは、QTEがユナイトモーフの入力となっているところです。プレイヤーの僕は状況に合わせた適切な図形を描くということになります。それまでのムービーの流れから、僕はなんとなく手を作ればいいのか、剣を作ればいいのか、鞭を作ればいいのかが分かるのです。例えば、空から落ちている最中に、フックのような引っかかりを見つけると、鞭を作ってそこにぶら下がればいいのだなと想像ができます。そこで、ヒーローの掛け声として「ユナイト・ウィップ」という声がかかり、僕は波線を描き、そして成功するという流れになります。事前に想像する余地があり、想像が当たり、技の掛け声としてタイミングが指示され、入力に成功し、ピンチを脱するという流れに、単純にムービーを見ている以上に、自分がそれを成功させたという没入感が生まれます。さらに、失敗したあとにも、個別の面白失敗リアクションが存在するため、失敗しても不快感が軽減されています。

 この、ムービーなのだけど、あたかも自分がその中に参加しているような感じは、ゲーム終盤のクライマックスでも効果的に使われていて、ムービーの中で登場人物たちが勝手に地球を守ったのではなく、僕が守ったのだ!という気持ちを非常に感じさせてくれます。僕はQTEに苦手な印象が強かっただけに、むしろ、これはすごい気持ち良くて素晴らしいなと思う気持ちが一塩でした。

 

(3)僕を裏切らない

 このゲームは割と不親切です。最近のゲームは大変親切なので、色んなことを指示してくれます。例えば、「次は何々という街の誰それに話しかけろ」みたいな表示が出るとともに、マップ上に印が出て、方向指示の矢印が出たりもします。それはとても親切ですが、同時にやらされている感じがでてくるんじゃないかと思ってしまうことがあります。そこまでやることが分かっているなら、僕がプレイしなくてもいいじゃないかと。その点、このゲームは状況があるだけで、それをどのように切り抜ければいいのかが、割と不明な状況が何度かありました。何をすればいいのか分からないので右往左往するのですが、一応ここに何かをするのだとヒントだけは出してくれるキャラがいて、そこで考えることになります。

 何をすればいいかはこれまでのプレイの中に確実にあるのです。例えば同様のことを「ゼルダの伝説」にも感じるのですが、手持ちのアイテムのどれかを効果的に使えば、目の前の困難は確実に攻略できるのです。だから、困難に正面から向き合って、手元に何があるかをちゃんと確認すると、解法は確実に出てきます。クリアするまでに、そんなの分かるわけないよ!と思った困難は、僕にはひとつもありませんでした。やり方が提示されて、その通りに失敗しないようにするのではなく、やり方を考えて試してみると上手くいったというのを重ねていくのが攻略に対する達成感を強く感じました。

 また、プレイしていた当時、あまり本数が出ていないのか、攻略サイトみたいなものも充実していなかったので、自分で考えるしかないという状況も、結果的にだから一層楽しめたという印象を深めたような気もしました。

 

(4)下手クソでもクリアできる親切設計

 アクションゲームが苦手な僕が最初のクリアするのに必須だった機能がひとつあります。それは、このゲームは体力がゼロになってゲームオーバーになっても、コンテニューすると、その場で復活できるのです。シューティングゲームのコンテニューのような感じです。ボスの体力も削ったままで復活できるので、何度もやり直せば、下手クソでもごり押しでいつかはクリアできます。

 僕も最初は何度もやり直し評価が低い状態でのクリアになりましたが、その後、しばらく進めた後に、さかのぼってステージをやり直したりすると、以前はなかなか倒せなかったボスたちをいとも簡単に倒すことができたりします。それは、進めるにつれて仲間が増えていき、攻撃力が上がったという要因と、自分の操作が上手くなったということ、そして、ボスの攻略方法が頭に入っているという複数の結果なのですが、以前は苦戦した敵が難なく倒せるようになっているというのは、大変気持ち良い感じでした。

 

(5)盛りだくさん感 

 このゲームはボリュームが結構あるのですが、そのくせ水増しをしているというような印象があまりありません。ステージごとにそれぞれの特性があり、ゲームのプレイ感が異なるのです。一点気になるところとしては、唐突にシューティングステージになるというのがすごく多いというのがあるのですが、このゲームシステムを使ってできるあらゆることが試されているという印象がありました。

 ある程度ゲームが進んでくると、ヒーローの数が増えてくるので、攻撃力が上がってごり押しがしやすくなるのですが、そこで、いいタイミングで限られた人数だけでクリアしなければいけないミッションが入ってきたりして、繊細なコントロールを要求され、そして、それに応えられるぐらいには操作が習熟している自分に気づけたりします。それぞれのステージにはそこだからこそ有効に活用できるユナイトモーフが存在したり、序盤に出て来た的を、中盤以降に使えるようになるユナイトモーフでこれまでとは違った倒し方ができたりします。

 ステージの端々に入っている小ネタ、ファミコンゲームへのリスペクト、仲間になる100人のヒーローの多種多様さ、ストーリーの小気味よさと熱さ、多分、僕がまだ気づいていないものもまだまだ沢山隠されているのではないかと思いますが、とにかく満腹になるほどのものが中に詰まっているのです。

 

 さて、長々と書いてきましたが、僕はすごい楽しくプレイしていたのに、周りの人が誰一人としてプレイしてなくて、たいそう寂しい思いをしていたので、マリオカート8に合わせてプレイして、僕と話をして欲しいなあという気持ちを込めて書いてみました。

 レッツプレイ「The Wonderful 101」!!

 

 
The Wonderful 101 予告編 (Director's Edition) - YouTube