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立読師列伝

 押井守の「立喰師列伝」は、「出された食べ物に難癖をつけることで、代金を払わずに帰っていく」という架空の存在「立喰師」という人たちを扱った小説あるいは映画です。

 

 立喰師は架空かもしれませんが、世の中には、なんとか本を買わずに読もうとする立読師という人たちがいて、コンビニや書店で見かけると思ったので、それについて書こうと思います。

 

・シール剥がしの政

 コンビニの成人指定雑誌に限らず、立ち読み防止のために本をシールで閉じている雑誌があります。同様にビニールひもによって閉じられたものや、再利用可能なゴムバンドなんかもありますが、とにかく立ち読み防止のためにつけられているのです。政はそれを何の躊躇もなく剥がします。そこに何の罪悪感もありません。政がシールを剥がした本は他の客にも読まれることになります。それらの客もまた罪悪感を感じません。そのシールは彼らにとっては最初から剥がされていたのですから。シールの剥がされ方は必ずしも綺麗なものではなく、汚らしくなった雑誌は売れぬまま返本されることになるのです。

 

・早売り待機のお銀

 日付が変わるころにお銀はコンビニに現れます。床にはビニールに包まれた明日は発売の雑誌。お銀はそれが並べられるまでの間、別の雑誌を立ち読みします。そして並べられたそばからそれを手に取り、読み始めます。その間も店員によって雑誌は並べられるのですが、店員が綺麗に並べ終わった雑誌の棚には、お銀が持っていた雑誌を戻すスペースがもはやありません。お銀は無理矢理に棚にさす、あるいは別の雑誌が整然と並べられた場所に手元の雑誌をポンと置いて、去ってゆくのです。

 

・床座りの哲と本座りのサブ

  立ち読みという概念へ挑戦する男がいます。彼の名は床座りの哲。その名の通り、お店の床に座って読むのです。狭い通路を占有し、行き交う人は残ったスペースを通るしかありません。本を買おうとする客は哲が邪魔で手に取ることができません。驚くべきことに、そんな床座りの哲も、まだましで、台に置いてある本の上に座る、本座りのサブというのもいます。ただ、中国や韓国の本屋に行くと座って読んでいる人が沢山いるので、国によってはそれが普通の文化だったりもするようです。

 

・レジ前立ちの辰

 コンビニや書店のレジの前に雑誌が置いてあるのは、きっと、そこに置いておけばそこで立ち読みをするような図々しい人はいないだろうと思ってのことだと思います。しかし、レジ前立ちの辰は違います。レジの前だろうが何だろうが、堂々とそこで雑誌を読みます。 他人の視線は気にしません。読める雑誌がそこにあるから、だから辰は雑誌を立ち読むのです。

 

・袋とじ覗きの袋太郎と袋とじ暴きの犬丸

  袋とじには夢が詰まっています。エッチなグラビアかもしれませんし、秘密の情報かもしれませんし、特別な漫画かもしれません。綺麗に開けられるかドキドキしながら、購入した人間だけが読むことができるという素敵なページ、それが袋とじです。袋太郎はそんな袋とじの上や下を指で小さく開き、角度をつけて中を覗き込みます。その姿は周囲にバレバレ、なおかつ読みにくい。しかし、袋太郎は開けずに中身を覗くのです。そんな袋太郎よりも、さらに群を抜いて酷いのが犬丸。彼はお店の袋とじを勝手にビリビリと開けてしまいます。犬丸とて人の子ですから、堂々とは行いません。小さく開けた雑誌に片手を突っ込み手で少しずつピリピリと袋とじを開けていくのです。そんな方法で綺麗に開けられるわけがありません。袋とじは汚くビリビリに引き裂かれ、そのまま棚に戻ります。そして、その雑誌を買ってしまう人もいるのです。

 

・馬耳東風の銀二

 最近は少なくなったかもしれませんが、立ち読みお断りと直接言ってくる本屋の店主がいます。また、人通りが多い場所でのコンビニでもあります。しかし、銀二には馬耳東風。そんな言葉に耳も貸しません。色々面倒くさい昨今、言葉以上のことをしてしまうのは、店側も難しい。銀二はそれを利用して、一切彼らに耳を貸さず、ただただ目当ての雑誌を立ち読みするのでした。

 

これらの立読師は実在する!!!

 

 ただ、立ち読みしている人がみんなこんなではないですし、僕も立ち読みは全然するので立ち読みそれ自体が良くないなんて言える立場ではない感じです。