漫画皇国

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自分を騙す嘘の話

 SF小説が好きなんですけど、SF小説というのには、現代の科学では解明できていない事象に関する独自の説明が登場したり、自然現象ではありえないことに関して何かしらの理屈が与えられて小説内の事象として登場したりします。

 

 そこで行われる理屈の説明というものに、読者としての僕は納得するのですけれど、それは実際の科学的な事実とは異なることがあったりもします。でも、その小説を読んでいるときの僕は納得するのです。

 

 この事実から考えて、僕が納得するということと科学的に正しいということには大した関係がないということが分かります。

 

 僕は自分が事象に対して実際に計測したりした分野については、それが科学的な観点から嘘っぽいというのは見抜けるんですけど、そうでない分野についてはよく分からないのです。例えば質量保存の法則に反しているとか、永久機関なのでありえないですねとか、そういう基本的なものについて違反しているのであれば分かるんですけど、それ以上になると、実際そうなのかどうなのかというのは検証するスキルがないので、そのデータを見せられたとしたら、ああ、そうなのかな、よく分からないけれど、と思ってしまってそれで終わりです。

 

 検証不可能なものについては、僕の中で何もかもいい加減で曖昧です。それについては、勝手な答えを決めつけず、いい加減で曖昧なままに扱うということを心がけているのですが、例えば他人の頭の中とかそういうのも検証できないので曖昧です。だから、この人は何考えてるんだろうなあとかそういうのは思いますし、行動から考えてこの人はきっとこういうことを考えているのだろうと類推することはあるのですが、それでも、それがそうであるという確証はありませんし、それがそうであるとしたら自分の中でしっくりくるので都合が良いという話でしかありません。

 

 人間は、と一般化すると怒られてしまうかもしれないので限定して、少なくとも僕は、雑然としたとっちらかった世の中の現象の中から、自分が生き延びるために有用な何かしらの法則性のようなものを見いだそうと毎日必死であり、それが仮に間違っていたとしてもしっくりくるものを探し出して納得しようとしているのだと思います。その考え方が間違っていたとしても、別に即座に死ぬわけではないので、間違ったものが間違ったままだったとしても別にそれなりには全然生き延びれますし、その間違いは検証されないままに残っているものも多々あるような気がします。

 

 なので、僕は世の中に対して、ああこれはこういうことなんだと自分なりに納得する理屈を日々考えてしまうのですが、それは自分が安心して生きるための自分を騙すための嘘でもあるのだろうということを頭の後ろの部分に置いた上で考えるようにしたいなあと思ったりしました。

 

 ということで、自分が今までに披露した考え方とか分析について、語尾に「と考えると僕にとって都合が良い」という一文を書き加えて、勝手にダメージを受けるという自虐的なプレイに勤しむ年始なのでした。