漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

他人の感想と攻略Wiki関連

 僕は、自分が好きな漫画について、他の人は読んでどのようなことを思ったのかな?と思って感想を検索したりします。そして、他の人の色々な感想を見ていると、時折潮目のようなものが見えることがあります。それはつまり、「ある人の感想を起点として、同じような感想が一気に増える」というということです。

 

 このような状況が発生すると、対象作品を「良い」とか「悪い」と表現する語り口として同じようなものばかりを目にするようになります。なので、あまり個別に読む必要がなくなってくるなーと思って読み飛ばし始めてしまうんですけど、でも、僕はこれをとても良いことだと思っています。

 なぜならそれは、それまでどのように該当作品を楽しめばいいかが分からなかった人にとって、分かりやすい楽しみ方が提示され、そのように楽しむことができるように変化したということだと思うからです。

 

 つまりこれは、ゲームにおける攻略本みたいなものだと思います。いや、今の世間では攻略本というよりは攻略Wikiの方がメジャーかもしれませんね。

 

 僕はゲームが特に上手くないので、誰かが考えた上手い進め方を知ることでようやくゲームをちゃんと遊べるというようなことがあります。つまり、攻略Wikiを読んだりしないと何一つ上手くいかなくて、どうしたらいいかが分からなくなってしまったりすることがあるのです。なにも見ないでいた場合、ゲームの進捗が停滞してしまうと、そのゲームを止めてしまうこともあります。

 何一つゲームの素養がない人間が、上手くプレイできるところに辿り着くには、結構な手間とその過程の試行錯誤が必要です。そして、自力ではそこに辿り着くほどの労力をかけられないと思ったら、そのゲームを止めてしまうなんてことなんて全然あり得ると思うんですよね。

 実際、子供の頃やっていたファミコンのゲームでは、クリアすることができなくて、同じところをぐるぐるずっとして、そのうち止めてしまうことの方が多かったです。当時の僕にとってゲームは基本的に最後までクリアできないものでした。その中でも数少なくクリアできたゲームが、ドラクエやFFのような、放っておいても攻略情報を友達が教えてくれたりするゲームだったように思います。

 つまり、自力ではゲームを遊べていなかったわけです。

 

 漫画を読むことにも似たようなものがあるかもしれません。子供の頃には読んでも分からなかったことが、大人になって読み返すと分かると思えることもよくあります。子供の頃は子供の頃なりに楽しく読んではいたんですけど、今思い返せば、描かれている色んなことがちゃんと読めてはなかったなと思ったりもします。だから、誰か既に読めている人が、上手い読み方を教えてくれるというのは、その「読めてないために楽しめない」という状況を回避できるので、僕は良いことなんだと思うんです。

 

 一方で、あまりにもそればかりだとしんどくなることもあると思っています。攻略Wikiを見ながら、収集要素を延々集めていたりすると、これはひょっとして苦役なのではないか?と思うこともありますし、他人に教えてもらったう上手い攻略法をやっていると、自分は他人が考えたそれをただ再現するだけの装置だ…と思ってしまうこともあります。

 「正解」を他人から導入してしまうことが当たり前だと、最初から「正解」が存在してしまうために、「正解」ではないことをすることが無意味に思えてしまい、結果的に、自分自身で試行錯誤することができなくなってしまったりします。

 なので、その状態が続くと、何かを見ても、自分でそれに対してどのように取り組むかを試行錯誤するより、誰かがそれらしい「正解」を出してくれるのを待ってしまうようになってしまったりするんじゃないかと思うんですよね。

 

 それが一概に悪い話とは思わないんですし、そもそもそれがあることで楽しみ方を得られるのだからめちゃくちゃ良いことでもあるよなと思います。でも、自分で考えて自分の楽しみ方を見つけるということは、漫画を読むうえでもゲームをする上でもとても楽しい領域のひとつだとも思っていて、その試行錯誤を自分自身で上手くできるようでないと、いずれは新しい作品に向き合うことがしんどくなってしまうような気もしているのです。

 

 なので、僕は少なくとも漫画については、自分がそれを読んでどう思ったかということばかりを気にしていて、それを上手く言葉に変換したいなと思って、そういう気持ちでいつもこのブログを書いています。

 僕の感想を読んで、今まで読んでいた漫画の別の読み方が分かったと言ってくれる人がいることもあって、その人にとってそれまで持っていなかった視点が生まれたのならいい話だなと思ったりする一方で、僕がその本をどう読んだかという、とても個人的な僕自身のことが、うっかり人の読み方に影響を与えてしまうことの危惧もあるわけですよ。

 

 まあ、別に各人が好きにすりゃいいという話ですが、他人に正解の読み方を教えてもらうのは、最初のとっかかりとしては良くても、長期的にはそれだけだとしんどくなるんじゃないかな?という想像があって、老いからオタクを続けられなくなるというような話も、ついに同年代から耳にするようになっていますが、それは、自分自身では楽しみ方を見つけられなかったせいもあるんじゃないかなと思ったという話でした(え?そういう話だったの??)。

 

 何かの作品に接して生まれる感想は、作品そのものとそれを読んだ自分との共同作業だと思っていて、だから、そのひとつひとつの読書体験が我が子のように大切だなと感じます。

 そういうことを自分はやっているように思うわけですが、感想には僕の自分語りの要素が大きいので、作者側からすると全く想定外の感想だと思われることもありそうです。そんなこと書いてないよ…みたいな。でも、感想は読者の個人の話だから…だから、なんか、かんべんな…。