漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

サイヤ人が大猿になる理由について考えました

 ドラゴンボールに登場するサイヤ人は、一見地球人と同じような見た目ですが、なんと尻尾が生えています。そして、満月を見ると大猿の姿に変身してしまうというのです。なので、僕は尻尾が生えた人間が、満月を見て大猿の姿に変身したとしたら、この人はもしかしたらサイヤ人なのでは??と思ってしまうと思うのですが、幸か不幸かまだそのような人には出会ったことがないので、実際にそう思ったことはありません。というか、漫画の中の話を現実と混同するのは良くないですね。

 

 漫画は漫画なので、現実ではないですが、僕は昔から「なぜサイヤ人は満月を見たら大猿に変身するんだろう??」という疑問を抱えています。サイヤ人も生物なので、そこにはそうであるがゆえに生き延びてきたという合理的な理由があるはずだと思うからです。ただ、「合理的」とか言い出したら、人間が大猿に変身するということは質量保存の法則に反していると思うので、その時点で現実の物理法則にてらして考えるのは完全に破綻しているのですが、そこには目をつぶって別の部分で合理的な理由を考えてみたいと思います。なぜなら、今ちょっと時間が空いているからです。

 

 サイヤ人について分かっていることを羅列します。原作漫画準拠です。

  • 戦闘民族である
  • 戦うために若い期間が長い
  • 髪の色は黒で、伸びたりしない(髪型が変化しない)
  • 地球の10倍の重力の惑星ベジータで生まれた
  • 尻尾が生えている
  • 尻尾は握られると力が抜ける(鍛えることもできる)
  • 満月照射されるブルーツ波を目で見ると尻尾が反応して大猿への変身が始まる
  • ブルーツ波は1700万ゼノという強さを超えていなければ変身しない
  • ブルーツ波が1700万ゼノを超えるのはどの星でも満月のときだけ
  • 王族は1700万ゼノを超えるブルーツ波を照射する人工満月を作れる
  • 人工満月は、パワーボールを酸素と混ぜ合わせることで作られる
  • 大猿化すると理性が失われる
  • エリート戦士は大猿化しても理性が失われない
  • 死にかけた状態から復活すると強くなる
  • 自分でわざと死のうとしても強くはならない(ベジータ談)
  • 千年に一度スーパーサイヤ人が現れるという伝説を持っている
  • 穏やかな心を持ちながら激しい怒りを持つことでスーパーサイヤ人になれる
  • スーパーサイヤ人は目が青色、髪の毛が金色に変化して逆立ち、金色の気を纏う
  • スーパーサイヤ人の変身にはより強くなるための複数の段階がある

 

 今回はこの辺をこねくり回すことで適当な説明を付けたいと思います。

 

 注目したいのは、惑星ベジータの重力が地球の10倍にも関わらず、巨大な大猿に変化するという点でしょう。なぜならば、同じプロポーションのまま体長が2倍になると、その体積は2の3乗=8倍になるからです。つまり、体が大きいほどに重力の負担が大きくなるという事情があります。地球上でも体の大きな動物は、その巨躯を支えるために、骨の断面積が大きくなったり(象)、海の中で生活することになったり(鯨)します。この事実が示しているのは、惑星ベジータという環境が、常に大猿として生活するということには不利ということです。

 ちなみに、サイヤ人は元々は惑星サダラで生まれた種族で、惑星プラントに移り住み、ツフル星人から奪ったという事実が割と最近明らかになりましたが、そのあたりに何かしら謎が隠されているのかもしれません。

 

 さて、では、動物が巨大化するのはどんなときでしょうか?例えば地球上ではベルクマンの法則というものがあります。この法則が示しているのは、寒冷地になるほどに動物の体が大きくなるという傾向です。なぜこういうことが起こるかというと、巨大な身体の方が熱を生み出す体積に対して熱を放出する表面積を小さくすることができ、恒温動物が体温を保つ上で有利であるからという説明がされています。しかし、惑星ベジータは温暖な気候でした(原作漫画には特に描写はありませんがアニメにはある)。なので、そういう意味においても大きくなることが生存上有利ということもありません。

 

 また、主人公の孫悟空を見る限り、サイヤ人は大食漢であると思われます(ただし、サイヤ人が一般的に大食漢であるという描写は原作漫画内にはなかったように思いますが)。そして、より巨大な身体を保つにはそれだけ多くの食料を必要とします。地球上では、象や鯨のような大きな動物は、その身を維持するために一日中何かを食べています。地道な農耕を行っていたとは思えない戦闘民族であるサイヤ人が、もし、巨大な猿のまま食事を続けた場合、単位面積あたりに生存できるサイヤ人の数は極小であると考えられます。それはきっと生存上不利でしょう。

 

 このように、惑星ベジータに住むサイヤ人が、大猿の姿を維持するということはデメリットばかりであるように考えます。しかし、実際にはサイヤ人は月に一回大猿に変身できるという能力があります。サイヤ人が小さな体であることは正しく、大きくなる必要はないように思いますが、にもかかわらず、大猿になれるのです。では、その生存上のメリットとは何なのでしょう?

 

 月に一回というところから雑に考えると、それが発情期とリンクしているという可能性が考えられます。交尾のために巨大化するということです。でもわざわざ交尾のために巨大化するというのもおかしな話です。では、こういう仮説はどうでしょうか?「サイヤ人はもともとは大きな猿の姿をしていた」というものです。

 

 仮にこれを「サイヤ原人」とします。戦闘民族の祖となるサイヤ原人は生存競争の中で体をより巨大化し、より強い雄になろうとします。しかし、前述のように、惑星ベジータでは巨大な身体は生存上不利となります。そこで、発情期のみ巨大な身体を持ち、それ以外の時期は体を小さくして生きるという方向に進化したのが後のサイヤ人となる一群であるということです。最初はここまで極端ではなかったかもしれません。比較的体の小さな個体が、発情期に差し掛かって体を大きくし、より有利な条件で雌の奪い合いに参加します。惑星ベジータの過酷な環境の中で、その発情期と発情期の間をエネルギー消費の少ない最小限の体で越してきた一群だけが適者生存してきた可能性があります。

 

 では、そのきっかけが満月を目で見ることであるのは何故でしょうか?ここには「人間が洞窟に適応した」という説を当てはめてみましょう。洞窟適応は、人間が他の猿と比べて体毛が少ないことを説明する上で出てくる仮説で、紫外線から身を守るために発達した体毛は洞窟の中では必要なく退化するというものです。人間が他の猿と比較して体毛が少ない理由は、諸説あるので(サバンナ説や水辺説など)、この説を選んだのは、僕がこれから描くことに都合がいいからというだけですが、つまり、洞窟の中で進化したサイヤ人が、満月を見ることなしに大猿化できたとすると、洞窟の中で大きくなり過ぎて身動きがとれなくなり死んでしまうからという理屈をつけたいということです。となれば、空を見上げられる場所でのみ大猿化できるという意味で、「満月を見る」ということに合理性が生まれます。

 

 そして、尻尾がないと大猿になれない理由は、あの尻尾は尻尾に見えて内蔵の一部ではないか?と考えることにします。暗闇で過ごしてなお毛が生えているという時点で、また刺激に弱いという時点で、それが例えば生殖器のような大切な部分であるということが想像できます。つまり、尻尾の中にある臓器が、ブルーツ波という外界からの刺激に反応し、何らかの内分泌を促すことで、大猿化が始まるということです。

 

 だいたい説明ができたような気がしませんか?しないなら仕方がない。

 

 まとめると、かつて巨大な猿の姿をしていたサイヤ原人は、惑星ベジータという過酷な状況に適応し、より少ないエネルギーで生存するために、小柄な体躯を手に入れました。普段、洞窟の中で暮らした彼らの体毛は退化し、残ったのは変化しない頭の毛と、確認していませんが性器、そして、大切な臓器である尻尾を守るための体毛だけです。彼らは巨大化しても問題ない外にいるときだけ、返信する能力を手に入れました。それは、満月のブルーツ波による刺激に尾を反応させて巨大化するという方法です。彼らは大猿の姿で異性を獲得し、交尾することで生存してきました。そのように進化してきたのがサイヤ人なのではないでしょうか?

 

 ここで、エリート戦士は、理性を失わず、人工満月を作りだすことができます。しかし、もしかすると、これは因果関係が逆なのかもしれません。理性を失わず、人工満月を作りだすということは、群れの個体を調整する上で非常に有利な能力です。また、小型化を選ばなかったサイヤ原人たちとの戦いでも有利に働いたことでしょう。つまり、これらの能力を獲得したサイヤ人が、リーダーとしてその能力を利用することで生き延び、後のベジータに繋がる王族となったのかもしれません。

 

 なるほどー、サイヤ人にはこんな歴史があったんですね(ありませんね)。

 

 あとスーパーサイヤ人とは何か?という雑な理屈も考えたんですが、空き時間が埋まってしまったので、これはまた別の機会に。