漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

漫画のサイン本の入手関連

 漫画家さんのサインの入った本、たくさんは持っていないですけど、いくつか持っているのでその入手の話をします。

 

 僕が最初に入手したサイン本は、学生時代にこうの史代さんに書いて貰った「夕凪の街・桜の国」の単行本です。これは直接貰ったわけではなくて、当時所属していた漫研の卒業生で映画会社に勤めていた方を経由して貰ったものです。この経緯をもう少し具体的に書くと、僕がアクションに載った「夕凪の街」にすごく感じ入るところがあったので、単行本が出たときには即日買って、インターネットで「すごくよい漫画の単行本がでましたよ!」という話を書いていたら、その映画会社に勤めていた方の目に留まり、そのまま映画化の話が進んだということで、その関連でサイン本を頂くことができました。

 

 世の中どのような経緯でサイン本が貰えるか分かったものではありません。

 

 次に入手したのは、確か五十嵐大介さんのサイン本で、こちらはオーソドックスにサイン会に参加しました。僕は五十嵐大介さんの漫画がめちゃくちゃ好きで擦り切れるぐらいに読み返しており、単行本と画集の発売に合わせたサイン会があると聞きつけて、えいやと会場の本屋で買って参加権を得たという経緯です。

 しかしながら、サイン会ですが、基本的に行くのが気が進まないという気持ちがあります。なぜなら、僕は漫画家さんのことを全般非常に尊敬しているというか、好きな漫画を供給してくれる大変ありがたい存在と思っていて、少しでも不快な思いをさせてしまったらいけない、もしそうなってしまったら巨大ないたたまれなさに苛まれてしまうのではないかという恐怖があるからです。人間は失敗を禁じられたときに自然に振る舞うことができなくなり、おかげで珍奇な行動をとってしまったりします。

 実際、かなりキョドってしまった憶えがあり、なんでもっとちゃんとコミュニケーションをとれないのかという後悔がすごくあります。ただ、名前を書いてもらうときに、「いい名前ですね」と言ってもらったので、この日から僕の本名はいい名前ということになったので、とてもありがたい思い出でもあります。

 

 その次のサイン本は多分、安田弘之さんに書いてもらったものです。インターネットで漫画の感想を喋ったり書いていたということから始まった諸般の経緯によって接点ができたので、このチャンスを逃すな!と飲みに誘ってしまったのですが、そのときに「ちひろ」の単行本を持って行ったので、サインをしてもらいました(絵も描いてもらいました)(うれしい)。ただ、あまり保存環境のよくない大学の漫研の部室に置いていた本だったので、かなり日に焼けていて、ご本人に見せる機会があるなら、もっと丁寧に保存しておけばよかったなという後悔もあります。

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 人付き合いがあまりない生活をしているので、人とのつながりの多くはインターネットによってもたらされていて、インターネットはすごいなあと思っています。

 

 榎本よしたかさんともインターネット経由で知り合いました。ウェブ漫画として公開されていた「トコノクボ」の単行本が出たときに、いち早く買ったので、飲みに誘ってしまったとき(いや、誘ってもらったときだったかも)にカバンに忍ばせて、サインを書いてもらいました(やったね!)。

 ウェブの漫画だったものですが、紙の単行本になることで、こういうことをしてもらうことができるので、物理的なものとしてあることの強さがあります。

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 また、寺沢大介さんの原画展で、「将太の寿司」の原画を十数枚買いあさったところサイン会の参加資格を得たということもありました(確か5枚以上で資格が発生したと思います)。こちらは厳密にはサイン本ではなくサイン色紙なのですが、好きな絵も描いてもらえるということで、サイン会という概念には前述の理由で参加する気が進まないのですが、こんな機会は二度と訪れないのでは?あと僕は「将太の寿司」を人生のバイブル的に崇めているので、絵を描いてもらえるだなんてもうこの機会しかないのでは?と頑張って自分を説得し足を運びました。

 描いてもらったのは散々悩んだあげく「将太くんにもらったネクタイを締めている大和寿司の親方」の絵で、これは僕がめちゃくちゃ好きなエピソードなのですが、おずおずとそれを描いてほしいと伝えてみたところ、困惑させてしまい、また大和寿司親方を資料なしでいきなり描くのが難しそうということがありました。しかし、僕は「そんなこともあろうかと」と、原画展でその日に買った大和寿司の親方のエピソードの原画を出すという行動に出て、それを参考に無理を言って描いてもらうことに成功しました。とてもありがたく、嬉しい話です。自宅に家宝として飾ってあります。

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 また、直近で目の前で描いてもらったサイン本と言えば小林銅蟲さんです。「めしにしましょう」の1巻が出たときのイベントに参加したという経緯です。イベント会場で漫画に登場した肉料理(ローストポークとマッシュポテト)を食べられると聞いて、とても食べたかったので参加し、最後に参加者が列を作って流れ作業でサインを描いてもらうという感じになり、僕はねぎ姉さんの絵を描いてもらいました。流れ作業でどんどん進む感じだったので、機械的に希望を伝えるだけとなり、緊張し過ぎないで助かりました。

 

 また、都会に棲息していると、特定の書店であらかじめサインの入った単行本を売っている状態に遭遇することがあります。例えば、僕の家にあるイシデ電さんの「逆流主婦ワイフ」の単行本にはサインが入っているのですが(これめちゃいい漫画なんですよ)、そのサイン本を書店でたまたま見つけたので、欲しくなり、その前日に既に1冊買っていましたがもう1冊買ったということがあります。

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 そして昨日、池辺葵さんのサインの入った「ねぇ、ママ」の単行本が、下北沢のヴィレッジヴァンガードにあるという話を聞きつけたので、ほとんど行った記憶のない下北沢に行ってきました(もしかしたら東京に十年以上住んでいて初めて行ったかもです)。下北沢と言えば漫画「ホーリーランド」の舞台であり、カツアゲにあった神代ユウくんがヤンキーを殴り倒したことて、下北ヤンキー狩りボクサーなどと呼ばれ恐れられてしまったほどの土地。カツアゲが盛んという偏見があったので、オヤジ狩りなどにあいはしないかとどきどきしながら行きましたが、特にそういうことはありませんでしたし、無事サイン本も買えました。まだ残っていたので行けばあるかもしれません。

 こらえしょうがない人間なので、帰りの駅のホームでばりばり梱包のビニールを破ってサインと添えてある絵を見ましたが、非常に徳が高くありがたい絵が入っておりましたので、拝むような気持ちになりました。

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 サインの入った本、色んな入手の方法があります。絵を描いてもらえたりすると、それは僕だけが所有しているものであって、それを独占してしまっているので、本当に贅沢な気持ちになります。なので、手に入るなら欲しいという気持ちがありつつ、一方、尊敬して崇めてしまっている漫画家さんに人として直接対峙するには気おくれする気持ちがすごくあるので、その過程で色んな精神的なハードルを乗り越えていかなければなりません。

 サイン会の場合、意を決して参加すればサインが手に入るので嬉しくなりますし、参加しなければ変にキョドってトラウマる感じの体験を事前に回避できたのでよかったという気持ちになるので、どっちに転んでも得をするのでは?と思います。なので、サイン会などのイベントは非常によいものではないでしょうか。

 そういうものに参加できる可能性があるのは、田舎の山奥から街に降りてきてよかったことのひとつだなと思いました。