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「クッキークリッカー」と「スラムダンク」の共通点について

 クッキークリッカーというゲームをずっとやっています。で、クッキークリッカースラムダンクが似てるなーって思いましたので、その話を書きます。

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クッキークリッカーとは

 クッキークリッカーがどういうゲームかというと、ブラウザ上に表示される大きなクッキーをクリックするとクッキーが増えるというゲームです。

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 これです⇒Cookie Clicker

 クッキーをクリックし続けることでクッキーが貯まります。ある程度クッキーが貯まると、そのクッキーと引き換えに設備やおばあちゃんを買うことができるようになります。すると、クッキーと引き換えに手に入れたその設備やおばあちゃんが、勝手に効率よくクッキーを生産してくれるようになるのです。

 そのようにしてクッキーが効率よく生産できるようになると、クッキーが大量に貯まっていきますから、それを使ってより多くの設備やおばあちゃんを買うことができます。そのようなより多くの設備やおばあちゃんを買うことで、なんとより多くのクッキーを生産することができるのです。するとどうでしょう、そのクッキーで、さらに多くの設備やおばあちゃんを買うことができます。それはつまり、さらに多くのクッキーを生産できることを意味します。そんな風に沢山のクッキーが生産できたらどうなりますか?それは当然、沢山の設備やおばあちゃんを買うしかありませんね。

 

 僕はこのクッキークリッカーをやめることなく何年もプレイし続けています。とはいうものの厳密にいうと設備やおばあちゃんが自動的に生産してくれているので、基本的には放置しているだけなのですが、たまに様子を見ては貯まったクッキーを利用して設備を買ってみたり、リセットして最初からプレイしてみたりする感じです。ツールやチートを使わず、手作業のみのプレイで全部の実績を解除したらこのゲームはやめようと思っていたのですが、最後の残り2個の実績が非常に遠く、のんびりと続けていました。しかし、最近バージョン2にアップデートがあったので、達成すべき実績の数が沢山増えてしまい、またゴールが遠くなってしまったのでした。その代わり、それまでのやることはやり尽くしていた状態を脱してしまったので、再びやる気を出して積極的にプレイしています。

 

ヘブンリーチップスとクッキーの拡大再生産

 このゲームを繰り返しプレイする上で重要な要素のひとつはヘブンリーチップスだと思います。ヘブンリーチップスとは、ゲームを一旦リセットし、また最初から始める場合に、今まで生産したクッキーの数に応じて支給される特殊なアイテムです。そして、このヘブンリーチップスの量に応じて、クッキーの生産量が倍増するという仕組みとなっています。このヘブンリーチップスは、リセットされないため、どんどん積み上がり、そして、クッキーの生産量がどんどん増えていくという仕組みになっています。

 これはつまり、プレイごとにクッキーの生産効率が向上することを意味します。

 

 一般的なゲームを遊ぶ際に感じる面白さのひとつは、何度もプレイすることで、最初にプレイしたときよりも上手にプレイできるようになることでしょう。これは例えば、スーパーマリオで最初のクリボーに当たっていたプレイヤーが、何度も繰り返すことでクリボーを避けられたり、踏みつぶせるようになったりするということです。「以前はできなかったことができるようになる」ということは人間の根源的な快感のひとつではないかと思います。そして、ゲームはお膳立てしてくれた場所において、それらを効率よく手軽に体感できるツールでもあります。最初は上手く動かせなかったゲームの中のキャラを、何度も繰り返しプレイすることで、自由自在に動かし、それによって目の前の困難を乗り越えていくことができます。そしてそれは楽しく感じます。

 ヘブンリーチップスは、これをプレイヤーの操作の習熟や戦略のアップデートなしに実現する仕組みです。ヘブンリーチップスが存在することで、今周回のクッキーの生産は、前周回のクッキーの生産よりも確実に効率化されます。以前は生産に1時間かかった量のクッキーを今度は30分で、繰り返せば5分やそれ以下で生産できるようになるかもしれません。

 言うなればRPGのレベル上げです。RPGがウケる理由のひとつは、操作の習熟や戦略のアップデートがなかったとしても、時間をかけてレベルさえ上げれば強いボスを倒せたりするところではないかと思います。RPGとの違いは、RPGはシナリオに従って次々と新しいボスと戦い、エンディングを迎えますが、クッキークリッカーではリセットをしての同じことの繰り返しであり、マイルストーンはあるものの到達先はありません。無限です。

 

スラムダンクとクッキークリッカー

 さて、スラムダンクにおける山王戦で主人公の桜木花道はバスケットボールの試合中に背中を強く打ちつけてしまいます。それは選手生命にかかわる深刻な怪我なのですが、桜木は無理して試合に出続けます。そんな桜木に対して、監督の安西先生は以下のような言葉を投げかけました。

 

「桜木君 白状します 君の異変にはすぐに気づいていた 気づいていながら君を代えなかった…代えたくなかった どんどんよくなる君のプレイを見ていたかったからだ 指導者失格です あと少しで一生後悔するところでした…」

 

 選手生命にかかわる怪我をしてしまった桜木を、安西先生はすぐに止めることができませんでした。初心者桜木は、驚くべき速度で成長し、試合の中でもどんどん上手くなります。成長する桜木を、安西先生は見ていたかったのです。その気持ちが、指導者としてすぐにでも止めるべきだという判断を鈍らせました。

 

 これはおそらく僕がクッキークリッカーをプレイするときの気持ちと同じです。クッキーの生産効率cps(Cookies Per Second)はどんどん上昇します。その向上の速度は徐々に緩やかにはなりますが、限界はまだまだ遥か遠くです。光をクッキーに変化させる設備Prismを200個手に入れるのに、最初は何百時間もの時間がかかりました。しかし、時間をかけ、何度も繰り返し続けた結果、その速度は向上し、今となってはたった1時間で完了します。

 この時間は次の周回ではもっと短縮されるでしょう。淡々と設備とおばあちゃんを買い、生産効率を上げる各種アップグレードも入手し、大量のクッキーを持ったトナカイを捕まえ、サンタクロースをファイナルクロースまで進化させ、ババアアポカリプスを乗り越え、クッキーを蓄える増殖させる虫を大量に潰し、定期的に発生するゴールデンクッキーをクリックし続けるのです。

 そうすれば、手に入れるのが遥か遠くに見えるアップグレードも、そのうち手に入るに違いありません。達成するのが困難な実績も解除できるに違いありません。そのために必要なことは「続けること」です。ヘブンリーチップスは増えることはあっても減ることはありません。時間をかければきっと到達できるのだと信じています。cpsはどんどん高くなるのです。

 白状します。僕はこのゲームに自分の時間を長時間を突っ込むことに意義は見出せないということにすぐ気づいていました。気づいていながらやめなかった…やめたくなかった。どんどん向上するcpsを見ていたかったからです。それによってどんどんと効率化していく自分のプレイを実感したかったからです。

 

 安西先生は、後悔する手前で前述の言葉を発し、桜木を止めようとしました。しかし、桜木はそんな安西先生にこう返します。

 

「オヤジの栄光時代はいつだよ… 全日本のときか? オレは今なんだよ!」


 僕の中には安西先生がいます。安西先生はクッキークリッカーの面白さを認めつつも、それを続けるということをやめさせようとします。しかし、僕の中にはまた桜木花道もいるのです。桜木は、今のため、自分の栄光時代のため、この試合(ゲーム)を続行することを望みます。

 お分かりになりましたか?クッキークリッカースラムダンクの物語における最後の戦い、山王戦と同じです。スラムダンクの山王戦に強く感動した僕が、なぜやめることができましょう?なので僕は、この終わりなきクッキー生産をやめずに今日も続けているのです。

 

「あのう…スミマセン…クッキーはお好きですか?」


「大好きです クッキークリッカーですから」