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ゲームにたまによくいる顔と両手だけのボスの正体について

 ゲームをしていると、たまに顔と両手だけがあって胴体や足なんかはないボスがいます。色んなゲームにいます。例えばドラゴンクエスト5のボス、デスタムーアなんかを想像する人も多いかもしれません。クロノトリガー星のカービィにもいましたし、ゼルダの伝説には何故かこの手のボスが沢山出てくるイメージがあります。ゲームが3DCGになってからというもの特に色々出てきた気がしていて、右手と左手がふわふわ襲ってくるのをかいくぐり、それらを避けて、あるいは無効化して、その後に顔面に攻撃を叩き込むような行動を何度も何度もした覚えがあります。

 

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 こういうボスがいるのは、なんでかな?って思います。なぜなら、顔と手だけがふわふわ浮いている人なんて、現実の世界に見たことがないからです。でも、この前ゲーム関連のニュースを見ていてハッと気が付きました。いたんです、手を顔しかない存在が。それはヘッドマウントディスプレイと、VRグローブ(あるいはそれに類するもの)を付けた人です。バーチャルリアリティ技術は、20年とか前の、僕が子供の頃からよく目にしているものです。頭にでかいヘルメットみたいなものをつけた人が、手に付けたグローブなんかで、仮想世界の中にあるリンゴを掴んだりする光景をよく目にしました。90年代に連載されていた「岸和田博士の科学的愛情」なんかでもパロディにされていたので、一般的に認識されている話題だったと思います。それが、最近はようやくゲームに実用的に降りてきたような感じになりつつあって、PlayStation VRというものが、コンシューマゲームの領域にももうすぐやってくるそうです(というニュースを観ました)。

 このバーチャルリアリティの技術において、人間は視覚や聴覚を司る頭にヘッドマウントディスプレイを装着し、そして、両手に入力機を持ったりするのです。つまり、その姿をバーチャルな世界側の住人から見れば、顔と両手しかない存在として認識できるのではないでしょうか?

 

 つまり、ここである仮説が考えられるようになりました。今までコンピュータの用意した人工知能であると考えていたあのボスたちは、バーチャルリアリティ技術を用いてゲーム内にやってきた別の人間であるかもしれないのです。

 

 おお、テリブルテリブル(おそろしいおそろしい)、自分が戦っていたものが、機械ではなく人間であるということに気づくというお話です。僕に倒されていた彼らはいったいどうなったのでしょうか?バーチャルリアリティなので、ダメージはないのでしょうか?あるいは、それがフィードバックされ、何かしらの損害を受けたりしていたのでしょうか?

 

 そういえば、ゲームにおけるプレイヤー達が、ゲーム内の住人から見て高次元の存在として認識されるという演出はゲームでたまにあります。比較的最近のゲームであれば「ブレイブリーデフォルト」、このゲームの世界の中で神界として語られる場所は、実はそれを動かしているプレイヤーであるところの僕たちが住む、現実の世界であることが明らかになります。それは、プロローグのAR(拡張現実)の演出で、僕の場合は自宅のコタツ机の上で、ゲーム内のキャラに助けを求められた時点で、それは実は既にとっくに示唆されていたことでした。このゲームのあるボスと戦うとき(その時、僕は電車に乗っていました)、戦いの背景に神界の光景が広がるという演出があります。その神界とはつまり、説明した通り現実の世界であり、3DSの内側のカメラから撮った光景であり、より具体的に言えば僕の顔であって、かなりぎょっとしました。おそろしい話です。画面の中の他人事をとして指示し、応援するはずの立場であった僕が、実は、ゲームの中にがっつり取り込まれていたことを気づかされてしまったのですから。

 

 このようなプレイヤーによるゲーム内への干渉の演出では、極限脱出シリーズの「9時間9人9の扉」や「善人シボウデス」における形態形成場というものもあります。このゲームにおける形態形成場とは、離れた場所で起こった出来事を結び付ける高次の領域のことです。ある場所で起こったことと、別の場所で起こったことは、ゲーム内の登場人物からすれば全然別のことですが、プレイヤーは同じ画面で両方を観ています。つまり、別の場所で起こったことを知っているプレイヤーがゲーム内のキャラクターを操作をすることで、ゲーム内のキャラクターが自分がいない時間や場所で起こったことを参考に行動にしてしまうということになります。それはゲームの中だけで考えれば不思議なことですが、プレイヤーを仮定すれば何も不思議なことではありません。

 

 そして、このような事象を漫画の中で描いたのが「代紋TAKE2」です。死んだはずのヤクザが、その記憶を元に二度目の人生を生きることになりますが、物語の終盤になればなるほどに、登場人物たちがある疑問を持ちます。それは、自分が本当に自分の意志で行動しているのかどうか?ということです。そして、ラストで、この何十巻も続いた物語がスーパーファミコンっぽいゲームの世界であったことが分かります。主人公が持っていた過去の記憶は、過去にプレイしたときのデータであり、そして、主人公たちを突き動かしていたのは、彼らの意志だけでなく、ゲームの外のプレイヤーであったということです。

 

 さて、先日プレイした「風ノ旅ビト」では、画面上に何気なく出てきた、自キャラと同じ姿をしたキャラが、実はネットの向こうで別の人間がプレイしているキャラであることに気づくという体験がありました。チャットもないゲームであるために、ごく限られたコミュニケーションしかとれませんが、その動きに、これはゲームの中の人工知能ではなく、人間が動かしているものではないかと感じる部分が多々ありました。

 もしかすると、顔と両手だけのボスもそうかもしれません。もしかすると、彼らとコンタクトがとれるのかもしれません。彼らがなぜ、ゲームの中でボスをやることになったのか?その事情は伺い知れませんが、何らかの手法でコンタクトが取れる可能性はゼロではありません。

 漫画の「狂四郎2030」では、未来の日本で男性と女性が区別されて生活をしています。世界大戦の中で再び鎖国することを決断し、その結果、農業の生産力を向上させるために作られた管理社会です。男性は女性のいない世界で、支給されたバーチャマシンを利用して性欲の解消を行います。そんな中で、バーチャル世界の女性に奥手に接し、性欲の解消どころか口説こうとして失敗し続ける不器用な男がいました。彼がこの物語の主人公、狂四郎です。そしてそんな彼を見つけた現実の女性がいました。バーチャマシンの仮想世界を構築し、運用するオペレータのひとり、ユリカです。彼女は志乃という名前で仮想世界の住人に擬態し、狂四郎との恋仲になります。この物語は、志乃が実在する女性であることを知った狂四郎の長い旅路の物語です。

 

 ゲームの中の仮想世界だと思ったそれは、実は現実かもしれません。彼らが実在する人間だったとしたら、これまでプレイしてきたゲームの意味が全く変わってくるかもしれません。

 想像してください。もし、彼らが人間だったとしたら、今まで右手と左手の攻撃をかいくぐり、ときに攻撃を与えて無効化して、ガードが解けた状態の顔面に僕たちが叩き込んできた攻撃の意味とは何でしょうか?彼らが向けてきたその手は、もしかすると、攻撃するためのものではなく、握手を求めるためのものだったのではないでしょうか?ゲームというボタンに制限されたコミュニケーションツールを用いて彼らが投げかけてきたメッセージを、僕らは何一つ受け取れていなかっただけなのではないでしょうか?

 

 そんなことを考えさせてくれるかもしれない、しないかもしれない企画展「GAME ON~ゲームってなんでおもしろい?~」、お台場の日本科学未来館にて5月末までやっているそうです。

www.fujitv.co.jp