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他人との距離感と本屋のレジ

 僕は他人との距離感がよく分かりません。精神的な意味もあるんですが、今回は物理的な意味での話です。

 

 長い道で遠くに向こうからこちら向かって来る知り合いを見つけたときに、どの距離で挨拶すると良いのでしょうか?あまり遠いと大声を出さないと声も届きませんし、かといってお互い気づいているのにノーリアクションというのも落ち着きません。僕が自分の中で決めた基準は、自分の視力で相手の表情が仔細に分かる距離で、会釈とともに挨拶するという感じです。また、それより遠くても相手の方から先に挨拶があった場合にそれに返礼するという感じです。ちなみに、大声を出すこと自体は平気なんですけど、その場合、その人以外にも声が届いてしまうので、それに反応されるとダルいみたいな気持ちがあります。その人だけに伝えたいし、そのための適切な距離が難しい感じがします。こういうことを言うと「考え過ぎ」とか言われてしまったりするのですが。

 

 ただ、この気まずさは、相手も同じであることがあって、向こうも距離が詰まるまでの時間、こちらをじっと見ているのもつらく、僕もまたそうなので、お互いに相手の顔を凝視しないように目線を外側に向けたりしながら、近くになってようやくお互いに顔をちゃんと向けあい挨拶をするという、大変面倒くさい感じであることがあります。そして、その顔を向けあうタイミングがずれると、向こうがこちらを見てくれず、見てくれていないと挨拶もしにくい(なぜならば一度挨拶したのにリアクションがないと、二度目は同じテンションで挨拶しにくい)という、大変人間が苦手な感じの謎な攻防が繰り広げられたりします。

 

 こういうのを全く気にせず遠くからでも大声で声をかけられたり、同じテンションで何度も他人に挨拶できる人もいます。しかし、それは僕にはなかなかできないので、大変羨ましく感じるのですが、できないものはしょうがないので、こういう小さな取り決めを自分の中でやっておくことで、なんとか他人と良い距離で挨拶を交わしたりしています。

 

 そして、これと似たようなことを本屋さんでも感じることがあります。例えば、新刊が置いてある場所とレジの間が一直線で微妙に距離がある場合、僕は何冊もの本を抱えてレジに向かって歩き出すのですが、途中でレジの中の人と目があってしまうと、そこに辿り着くまでの何秒かの間が、お互い認識しながらも何の手も打てるわけではない感じで、非常に気まずく感じてしまうのです。なので、最短距離でなくわざわざレジの横側からぐるりと回り込んだりすることもありますし、直線の途中にある雑誌に、意味もなく目を移したり、パラパラと中身を確認したりしながら、その時間をわざと細切れにして埋めたりします。

 

 ということで、新刊棚とレジが直線で結べるかつ微妙に距離のある配置は苦手だなあと思ったりもするのですが、それも実際たまに何秒かだけの話なので、レイアウトを変えてほしいと思うほどでもないですし、どうでもよい話です。でも、あの目が合ってから本の会計をできるまでの何秒間の気まずさに、気まずいなあと思ってしまうというのは事実なのでした。