漫画皇国

Yes!!漫画皇国!!!

漫画を描いたのでコミティア117に出ます

 なんとなくコミティアに出たいと思ったので漫画を描きました。なぜコミティアに出たいと思ったかというとなんとなくです。僕が思うに「なんとなく」というのは、人生をいい感じにやっていくためには絶対に無視してはいけない種類の感情だと思います。なぜそう思うかというとなんとなくです。

 

日時と場所は、

8/21(日) 東京ビッグサイト スペース:U02b サークル名:七妖会

です。宜しくお願いします。

 

 

 さて、漫画を描こうと思うといくつかの問題にぶちあたりました。なぜなら、漫画をろくすっぽ描き上げたことがないからです。しかし、それらの問題を乗り越えないと漫画を描けないのでそれらを解決する必要がありました。代表的なの問題は以下の3つです。

 

1.描きたいことがない

2.描き方がわからない

3.描くのがめんどい

 

 かなり本質的な問題が眼前に横たわっていたので、頑張って乗り越えていかなければなりませんでした。描き上がったということは、乗り越えられたということなので、それぞれの問題についてどのように取り組んだかをシェアさせて頂きます。

 

1.描きたいことがない問題

 描きたいこと、ほんとないです。他人に対して何かを主張したいということもないので、うわー、何も描きたくない!って思ったのですが、今回は目標を描くことに設定してしまったので、なんとなくお話の始まりと終わりと、描きたいことを絞り出すことにしました。とはいえ描きたいものが、自分の中にはなかったので、自分が好きな本にあった、自分が好きな部分を、自分なりに再現してみようというのを当初の目標として設定してみることにしました。しかし、これは結果的に失敗に終わります。なぜならプロの人が作ったものの中にある良いものを、十分に再現できるスキルが僕にはないからです。

 しかし、こういう感じに、無理矢理方向性と手段を決めたので、描き始めることには成功しました。僕が思うにこれは普通なんじゃないかなあと思っていて、普通に何不自由なく暮らしておいて、何かを強烈に主張したいということは生まれにくいのではないでしょうか?でも、何も思っていないわけではないんだと思います。何かを描き始めたら、ようやく明文化されていない自分の中の何かがにじみ出てくるような感じかなあと思ったりしました。

 

2.描き方がわからない問題

 描き方は全然わかりません。ぼんやりと考えている話の流れを、どのようにシーンに分割して、ページ分割して、コマに分割すればいいのかが分かりません。最初はネームで最後まで描き終わってから本チャンの原稿を描こうとしていたのですが、半分ぐらい描いたところで頓挫しました。なぜなら、当初思っていた結末に、どうしても辿り着かないからです。起承転結というものがあるとすると、起承承承みたいな感じになっていって、話として辻褄は合っているのですが、どこにも辿りつかないままページだけが進んでいくというような感じになってしまっていました。

 そこで仕切り直して、描き方を変えてまた最初から描きなおしました。どういう描き方に変えたかというと、基本的に見開きの2ページずつ、ネームと下描きとペン入れまで同時にしてしまうことで退路を断ち、基本的にはそれでそこまでの内容を確定させてから先に進んでいくという方式です。

 これは、一人でやるリレー漫画のような感じで、ここからどうするの?みたいなことを都度、それまでの流れを読み返しながら描きました。するとどうでしょう。話は一回目よりもずっと展開するようになりました。しかし、イマイチ辻褄が合いません。なので、ちょっとずと前の台詞を描きなおしたりしながら、全体としての整合性をできるだけとりつつ、なんとかじりじりと進んで行く感じになりました。

 ただ、ラスト数ページの段階で、またもや「これ、今まで描いてきた流れに乗ると、ちゃんと思っていたページ数で収束する感じに終わらせられないな」と困ってしまいました。しかし、その困ったところに、なんとなく常日頃から自分が思っていることが当てはまるような気がしたので、それを当てはめて終わらせてみました。とりあえず終わったのでよかったということにします。

 

 あと、コマ割りができないという問題があったんですが、これは去年、文学フリマに出した妖怪本のときにちらっとだけ描いた漫画のときの方法を使っています。どういうことかというと、そのページに何をどのように描くかを決める前に、まず適当にコマ割りをしてしまうということです。

 人に話したら、「そんなやり方聞いたことがない」というようなリアクションを貰ったのですが、僕は結構これを合理的と思っていて、なぜなら、漫画を描く経験は全然足りないですが、漫画を読む経験はそれなりに蓄積があるからです。

 つまり、「描いていておかしい」ということには今のところなかなか気づけませんが、「読んでおかしい」ということには気づくことができます。気づいてしまえば、今のコマ割りをどのように変化させればいいかを考えることになりますから、説明が足りないようなら、追加でコマを分割してみますし、それで小さくなるようなら大きく配置しなおしてみます。このような試行錯誤ができる段階になるようにまず非常に適当でもいいので叩き台があることが重要と考えました。

 

 僕が最近考えていることに、「頭の中の解像度」というものがあります。それはつまり、自分を取り巻く世界は高解像度なのに、自分の頭の中は低解像度でしかないように感じているということです。

 この解像度の差を仮定した場合、世界を頭に取り込むときは、情報を単純化してしまえばいいですが、頭の中のものを外の世界に出すときには、解像度が足りないため、何らかの超解像処理(低解像度⇒高解像度への変換)が必要になります。でなければ、ドットの荒いガクガクの絵になってしまうからです。この超解像処理こそを上手くやることこそが技術力だと思います。

 

 頭の中にある設計図を、思った通りに出力するには、ぼんやりとしたものをはっきりとしたものに変換する能力が必要です。その能力がない場合は、出力が安定せず、出力を試行するごとに偶然性が強く出てしまいます。つまり、やってみなければわからないことが多いということです。

 高い技術力がある人は、作ってみる前の段階から、完成形がある程度見えていて、それに合うように出力できるかもしれませんが、僕のような低い技術力しかない人間は、一旦出力されてみるまで、それが良いのか悪いのかを判断することすらできません。そこで、とりあえず試行錯誤をできる状況に持っていくことの重要性を考え、そのようにしてやってみました。

 

 これは作り手と受け手の間で一般的にある話で、受け手の人は作り手が完成させたものを見て、「ここを直した方がよい」などと思うことがあります。しかし、多くの場合、作り手より超解像の技術力の劣る受け手は、完成品を見なければ良し悪しが判定できず、であるからこそ、自分の頭の中の理想通りに、世の中にそれを出力するという能力も持ちません。なので、「自分は観る目があって良いものが分かっている」と吹聴するような人でも、いざ実際に作ってみると全然ダメなものしか作れないとか、ちゃんと完成しないみたいなことになってしまうんじゃないかと思います。

 僕もそんな感じなので、色んなものを読んで、「こういうものが面白い」というようなぼんやりとした考えはあるのですが、では、いざそれを形にしてみようとすると大体上手くいきません。ただ、今回はやってみようと思ったので、できる範囲でやってみました。

 

3.描くのがめんどい問題

 パソコンの力がすごいですね。パソコンがあると、めんどい作業をかなり削減することができます。僕は枠線を引くのが面倒で面倒でしかたないので、できるだけやりたくありませんが、パソコンでやるとものの数十秒ぐらいで引けてしまいます。前、たいへん尊敬している漫画家さん(アナログでひとりで描いている)に「枠線引くのめんどくないですか?」って聞いたら「めんどいよ」って返ってきたので、めんどいのにやれるなんて、なんて実行力があるんだ!と、ちょっとめんどいとやれなくなってしまう自分のダメさを実感してしまったことがあります。しかし、人間の性質は簡単には変わりません。だから、めんどくなくてもよい方法を探すのが重要です。それがパソコンで描くことでした。

 他にめんどうなことと言えば、紙に描いてスキャンして取り込むのもめんどうなので、ネーム兼下描きも、ペン入れや仕上げも、最初からタブレットでやりました。あと、ひと手間かければコマから絵がはみ出さないように描くこともできます。トーンもアナログならめんどいですがパソコンならまだやれます。背景と人を別々のレイヤで描けば気を遣わないで描けますし、フキダシの位置を後から変えてみたりするのも簡単ですし、ホワイトをいくら使っても紙に盛り上がることがないので、無限に試行錯誤ができます。

 前述のように、ある程度作ってみないと良し悪しが分からないようなレベルの技術力しかない僕にはパソコンというやり直しをしやすい手段があることが、完成させるには必要不可欠ということが分かりました。

 

 上手い人はパソコンを使わなくても大丈夫ですが、僕のような上手くない人は絶対パソコンを使った方がいいんじゃないかと思います。

 

 

まとめ

 このように、ちょっとめんどうな問題にぶちあたると何もやれなくなってしまうような人間も、目の前にある問題のそれぞれに適切に対策をとり、めんどうさを可能な限り排除してやれば、漫画を描いてみることができます。

 僕の考えでは基本的にあらゆることは、それを自分ができない理由をリストアップして、それらを全部解消した段階で出来てしまうので、そういう風にやってみるといいんじゃないかと思っています。ともかく、今回の目標は完成させることなので、完成させた時点で100点満点だと自分で思っていて、よかったよかった満点でよかったと思いました。

 

 ほんとうによかったなあと僕は思いました。もし、当日ご来場の方がいらっしゃいましたらどうぞ宜しくお願い申し上げます。